第134話 攻略されてるかも⁉︎

私は高校の時より押してくる和也にアタフタと心も身体もよろめいていた。そもそも私は和也は好きなタイプだし、実際一緒に同室で生活してきたんだ。人となりは良く知ってる。悪い奴じゃ無い。


私の事を好きだって言ってくれてるし。…最後までしちゃったのも、好きだからなのかな?



私の悪いところは佐藤とも、タクミとも、それこそ司先輩とだって、まして玲と、最後まで状況次第では致してしまいそうな軽さだ。まして和也と最後までしてしまったから、そのハードルは下がってしまった…。


本当、私ってビッチの何者でも無いかもしれない。私は隣でニコニコと機嫌の良い和也を見つめながら、こんな私の本性を知ってしまったら和也も呆れて離れていくのかなと胸が痛くなった。



「とりあえず、連れていきたい場所があるんだけど。前にうーちゃんが行きたいって言ってただろ?デジタルアート。」


私は和也の言葉に食いついて、繋いだ手をグッと握りしめた。


「行きたいっ!あー、まじで⁉︎ やったっ!あ、でもチケット取れないって聞いたけど…。」


眉をひそめた私に、和也は誇らしげにニヤリと笑うと胸のポケットからチケットを2枚取り出した。



「びっくりさせようと思って。良かった。もう見てたらどうしようかと思った。」


そう言ってもう一度チケットをしまうと、私と繋いでいた手を恋人繋ぎに変えてイタズラっぽっくウインクした。私は、すっかりニマニマ嬉しくなって、繋いだ手を大きく振ると足取りも軽く歩き出した。もう今は楽しいことだけ考えよう。そうしよう。



「はぁ~最高だった。いっぱい写真撮ったね。あそこだったら何度でも来たいかも。まだ瞼の裏にキラキラが残ってる気がするよ…。」


私は和也とイベント会場から少し歩いた大きな公園で、テイクアウトしたサンドイッチを食べ終わって興奮気味に話をし続けていた。公園には大きなイチョウの木から風に乗ってヒラヒラと舞い落ちる黄色い葉が敷き詰められていて、さっきのキラキラした景色とリンクしてる様だった。



私は急に黙ってしまった隣の和也を見上げると、和也は黄色い地面を黙って見つめていた。


「…和也?」


和也は真っ直ぐに前を向きながら、手に持ったドリンクを飲み干して思い切った様に話し出した。


「俺、今日うーちゃんに話があって会おうって言ったんだ。」


私は急に心臓がドキドキと忙しく動き出すのを感じた。






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