第47話戦争




羅漢大陸の港で貿易で賑わうことでのし上がったサラン商業連合国。

ここが羅漢最大の貿易の中心と言われ、サラン商業都市は数百年が経っている。

港の規模も大きく大型船が33隻中型船12隻が停泊している。

その船の半数が荷物の荷揚げを、港湾労働者の人力で担っていた。

傍らでは、港湾監督者が大声で怒鳴っていた。

この光景は夕暮れまで続き、日が暗くなると静まりかえる光景であった。



そこへはるか沖合いに、朝日が上がる頃に戦艦1隻があられた。

艦長が双眼鏡で港に停泊した船を数えていた。


「大型船が33隻中型船12隻か?砲手に1隻も残らずに沈めるように伝えてくれ」


「了解しました」


「今は5時42分だな、予定通りに6時に艦砲射撃を始める。準備はいいな」


「艦長、射撃準備が整ったそうです」


時間が6時になった。


「撃て!」


一斉に艦砲射撃が始まり、止む事もなく撃ち続けられていた。

それは30分が経過した頃に、艦砲射撃が急に止まり砲身を冷やしている。


その30分で数百年も続いた歴史が、瓦礫と穴だらけになってしまった。

次第に煙が立ち上がり、瓦礫の木材を燃やし始めた。

火の勢いは止まる事もなく広がってゆき、一面を炎に変えていた。


港に停泊していた船は全てが沈んでしまい、港としての機能がし無くなってしまった。

あの大量の船を引き上げるには、時間も労費もどれ程掛かるだろう。

それ以前に、引き上げる技術も無いのかも知れない。




ターラ国の王都は頑丈な城壁が幾重に張り巡らされ、城壁のタラ王都と呼ばれていた。

朝日が昇ると、ワイバーンに乗った竜騎士が空に飛び立った。

10羽のワイバーンが思い思いに飛び回っている。

タラ王都の朝に見かける風景であった。


このターラ国は魔法で成り立った国でもあった。

農業も魔法によって豊かな収穫が見込めて、干ばつ時も魔法によって雨を降らしていた。

国民の8割が魔術士で、他の国ではその反対の2割が普通であった。

その為に大魔術士の1人を輩出はいしゅつして、今は他の大陸に行って見聞を広めている最中であった。


そして古代文明の人々の子孫だとも言い伝えが残っている。

その言い伝えのせいか、数少ない魔法道具師は魔術士になれない者の最後の職業として続いている。


そんなタラの王都の港から反対の海に、駆逐艦3隻があらわれた。


「発射準備は整ったのか?」


「艦長、整いました。いつでも発射出来ます」


「そうか、6時の発射に間に合ったな。時間になったら発射するように伝えてくれ」


「了解しました」


時間が6時になった瞬間に対艦ミサイル用だったミサイルが発射された。

座標地点はタラの王都で、15キロ先に着弾したのだろう。

はるか遠くの音がここまで聞こえている。


それは、タラ王都の城の結界が解除される時間でもあった。

駆逐艦3隻が1発を残してミサイルを発射し終わると、ゆっくりとその海域から離れて行った。




空母1隻と駆逐艦1隻が羅漢大陸に近づく。

朝日も昇り、時間は7時を過ぎていた。


「ここからもっとも近い国の王都は何処なんだ」


「サラサーラ国のサラ王都です」


「ドローン隊に座標位置を知らせて、準備次第、攻撃に向かってくれと伝えてくれ」


「了解しました」


甲板上のドローンは、静かに舞うようにして空中高くあがる。

そして北に向かった20機のドローン。


「艦長、王都攻撃に成功しました。被害はありません」


「それは良かった。いつ頃戻って来るのだ」


「9時頃に帰艦する予定です」


「そうか、まだまだ掛かりそうだな」




羅漢大陸の攻撃が始まって、次の日には大船団が1つ港を強襲。

朝が昇る前に、小型ボート30隻が港に進入して、大勢の兵が上陸して制圧してしまった。

ここでの上陸作戦が成功したので、ここの王都への進行も早かった。

油断していたのだろう。呆気なくバーズ国の王都は陥落してしまった。


・  ・  ・  ・  ・


どうにか逃げ出した王子が、陥落した王都を見下ろして言った言葉はか細かった。


「あれは何処の国の兵なんだ」


「あれはたしか?・・・バラン帝国とオーランド王国です」


「バラン帝国の帝都は陥落したと聞いたぞ、それが何故、我が王都を攻めているのだ」


「わたしには分かりません」


「そうだな、貴族の召集をするぞ、急いでバッカム公爵の領土へ行こう」


「それがよろしいと存じます」


馬にまたがって、悔しいそうに王都を見ていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る