第40話B1




あれからA1の構造内容をノートパソコンで、こっちの文字で打ち込んでいる。

大雑把な内容だが、ある程度動く仕組みと制御方法が分かる筈。



こっちの文字を打ち込む為に、フォント作りをする必要があり難しかった。

慣れないことなので、13日も費やしたことを思い出す。


それだけに終わらないのが古代文明の文字だ。こっちの国に無い文字の意味が多すぎる。

そのたびに新語をつくる羽目になった。

その新語も彼女らに任せた。


彼女らの前で、どのような新語が欲しいか説明して、聞き返される事が多く。

何度も丁寧に言葉を選んで話した。

そして出来上がった新語候補の4つから、皆の前で相応しい新語を決めるのだが、作った本人の思いが強すぎて中々決まらない。


この事は、婚前旅行で知った外国の言葉にも当てはまり。

旅行記の出版時にも、ユナが書く時にぶちあったた問題でもあった。


異世界の印刷機で印刷された紙を、人の手作業で本にされて作られたのが【はじめての外国旅行記】。

今、我が領土で静かなブームになっている。

そして婚前旅行でなく新婚旅行がブームになっている。

何故なら、新しい民が我が領土で結婚する率が高かった。



A1の構造は至って簡単で複雑であった。

文字の1文字は簡単だが、その中の意味合いが複雑であった。

俺の知っている知識だけで、A1を再現するのは不可能に近かった。


その為にもっと簡単な材料のミスリルの金属を使ったゴーレムを試作中。

原動力は魔石を使用して、身長2メートルのゴーレムを作り上げた。

主要な金属はミスリスだが、単価が高い為に内部には銅やアルミ合金を使用している。

そして制御部分も古代文明の魔法陣を使うのでなく、一部を集積回路のICを使っている。


そのせいで滑らかに動くゴーレムで、攻撃手段は内臓されていない。

その為に、ブレッシャーカノンの小型版のライフルブレッシャーを装備。

ライフルブレッシャーも魔石がエネルギーとして使われている。

そしてコードをゴーレムに接続する事で、銃口の狙いも接続されてゴーレムの目にライフルを持ってくる必要もない。

狙いを定めると百発百中で外すことはほぼ無い。


その試作機が郊外の広場で公開実験を行なっている。

軍部大臣ケラン・建築大臣リント・宰相ロバートと彼女らが見守る中で始まった。


「目標に撃たせろ」


「B1、目標は300メートル先の赤丸。撃て!」


B1はライフルブレッシャーを構えると、ためらいなく撃った。

発射音はプスッと気の抜けた音で、見事に目標に当たり破壊している。


「威力は素晴らしいですね。これをどれ程作るのですか?」


「1000体は作りたい。もしもの時には人の代わりに出兵してもらう」


「そうですか?指揮官の再教育が必要ですね」


「そうだな、運用方法も違ってくるだろう」


「しかし大変な物を作りましたな。帝国の諜報活動が活発になりますな」


「まだ居るのか?1ヶ月前にスパイ容疑で大量に捕まえた筈なのに・・・」


「ねえ!わたしらにも1体欲しいわ」


「何に使うんだ」


「それは、色々と使うわよ。警護に1体は欲しいわ」


「分かった。4体を作ったら渡す。それでいいな」


「ありがとう」


「それにしても、トロスは何故来なかった」


「あら知らなかった。教会のミリーに何度もアタックして、今日はデートをしている頃よ」


「あいつは、そんなマメな男だったのか?」



あれから2ヶ月後に1000体のB1タイプが量産されて、目の前で行進している。

トニー領都の大通りを領民が見守る中を、堂々と行進が進んでいる。

大勢の拍手や行進を称える声が、あっちこっちから聞こえ賑わっていた。


B1の行進の動きはズレルこともなく同じ動きで、足音も「ザッ・ザッ・ザッ」とリズムのように行進を続けている。

50体を小隊として小隊長の1人がいる。1000体と20人をまとめるのが中隊長。

その中隊長が俺の隣で、無線で命令を伝えている


そして、その後ろに軽装甲機動車が4台が【火砲】4門を引張っている。

更にその後ろに16式機動戦闘車が5台がゆっくりと移動している。


16式機動戦闘車:量産車両

全 長  8.45m

全 幅  2.98m

全 高  2.87m

全備重量 約26t

搭載機関 直列4気筒4ストローク水冷ターボチャージド・ディーゼル

出 力  570ps/2100rpm

最高速度 約100km/h

乗員    4名

武 装  52口径105mmライフル砲×1

製 造  車体|三菱重工業


戦車のような主砲搭載の砲塔に装輪装甲車と同様の装輪(タイヤ)式の足回りになっている。

整備された道なら高速移動が可能で、我が領土は道が整備されている為にすぐに運用できる。


そして大空には、ドローン隊が丸に斜めに線が突き抜けた、我が領土のマークを描いていた。


群集は空を仰ぎ見て、歓喜があがりただ見上げるだけだった。

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