第39話A1
海賊船の甲板では回復した大勢のノーム125人が1点を見ていた。
そこにはノームの長老が、全員の顔を見渡している。
「聞いてくれ、ここに居る領主さまが土地を貸してくれるそうだ。株式会社を経営しろと言っておられる」
「株式会社ってなんですか?」
「なんでも、我らノーム全員が1つの組織で農業に従事して、販売まで担い利益を上げることらしい。そして利益から領主に税を納めるらしい」
「今までの農業労働者と何が違うのかよく分からんな」
「利益を上げれば、それだけ我らの利益になる、災害や天候不順の赤字経営も1年間の税免除があるらしい」
「あまりにも旨過ぎないか?」
「何をバカなことを言う。海賊に捕まった時点で我らは終わっていたのだ。それなのにチャンスを下さるのだ。悪くない話だ」
「お前も本当にバカだな、俺はその株式に賛成だ」
「あたしも頑張って株式をするわ。あなたも賛成するのよ」
「分かったよ。俺も賛成だ!」
ノーム全員が賛成になったので、俺は前に出た。
「君らを我が領土の民として受入れよう」
俺は下がり、あとはシランに任せた。
俺1人で何でもやれば疲れて死んでしまう。なので家族のシランに任せた。
失敗もあるだろうが、経験を積む事で更なる仕事が任せられるだろう。
「ミラー湾岸都市が見えてきたよーー」
「あそこにワシの妻になる女子が居るのか?」
「なんて美しい都市なんだ。こんな都市を見るのは初めてだ」
港に着くと早速、バスに乗って駅に向かって走り出す。
「なんだよ、この乗り物は馬がいないぞ。それに速い」
「あれを見ろ!変な物が飛んでるぞ」
駅で電車に乗り込んだ一行。
見る物、触る物が初めてなことばかりで戸惑っている。
そして豊かな広大な土地を見て、歓喜の声を上げている。
この土地を案内した農業大臣サントは、皆に聞こえる声で言い放った。
「まだまだ開拓されていない土地だが、君らで好きなように開拓してくれ」
「やってやる。すぐに耕すぞ。俺に任せろ」
そこに建設重機がのった大型運搬車が10台が登場。
大型運搬車から建設重機が下りてきて、重機運転者とノームを交えて会合。
重機による早期開拓計画が始まる。
俺はノームが住む家の建築材料一式を、ノームの家族数を聞いてからせっせと出して行く。
これが終われば、建築大臣リントに言われた所へ行き、同じように建築材料一式を出す羽目になる。
溜まっていた仕事をテキパキとこなして、日が沈みかけた頃にやっと秘密工場に到着。
運び込まれた古代遺跡で発掘された大箱。
1メートル×1メートル×1メートルの立方体で表面に
「ねえ、これって何なの・・・?」
「なんだか、旦那様は執着しているみたいだわ」
「ワシの嫁紹介も気になるが、これも気になっていた。これの正体を教えてくれ」
「これは、古代文明時代に作られたオリハルコン製のゴーレムだよ」
「ゴーレムって、なに言っているのか全然分からないよ」
「まあ、見ていてくれ」
たしかこの起動スイッチに大量の魔力を流し込むことで起動する筈だ。
既に世界樹の果実は食べて大量の魔力を持った俺は、一気に充実した魔力を流し込んだ。
どんどんと流れる魔力に歯止めが利かない。
意識が途切れる寸前に、起動が入った。
赤いスジが幾何学模様に巡らされて、まるで血液が流れ込んだ錯覚を与える。
そして膨張しながら立方体が変化する。手が生え足が生えて頭も生えた。
身長3メートルの巨人ゴーレムの完成。
トロスは尻餅をつき、驚きながら足を必死に動かして後退している。
彼女らは、口を開けて呆気にとられている。
「心配しなくていい。俺の言うことしか聞かないように初期設定がなされている筈だ」
「あなたの命令を聞くの・・・この巨人が」
「お前の名前は【A1】だ」
ゴーレムの目が光、承認されたようだ。
「A1、あのブルドーザーを持ち上げろ」
あの中古ブルドーザーは10370kgもする重さだったのに、軽く持ち上げている。
オリハルコンは軽い金属なのに、あり得ないことが起こっていた。
普通ならA1が浮かび上がるのに、信じられない光景。
仕組みは簡単だ。A1に重力制御が内蔵されてそれを使って持ち上げている。
パワー全開であの空母でも持ち上げることが可能。
「A1、ブルドーザーを壊さないように下ろせ」
ゆっくりと下ろし、命令に忠実に従うA1。
このA1の最大攻撃方法はブレッシャーカノン。
手から繰り出されるブレッシャーカノンはあらゆる物を一撃で葬ってしまう。
近距離が最大攻撃で遠距離になる程、攻撃力が落ちる傾向がある。
この工場で試し撃ちすると、えらいことになってしまう為に今は使わない。
そして最大の特徴がオリハルコン製のボディで、あらゆる魔法攻撃に耐え、物理攻撃にも耐えるように作られている。
たまに、俺の魔力充電が必要なのがデメリットである。
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