第12話気が晴れたか




彼女達に家1軒を与えたので残り4軒になってしまった。

20軒は建てておきたい。彼女達にコンパウンドボウの練習をみっちり2時間を行なわせる。


その後は、家の建築に従事。

最初に教えるのは安全作業。2つ目は品質で3つ目が報告。

間違いは間違いで報告して改善する。

あくまでも本の受け売り。


1軒を建てるのに何日も掛かったが、彼女達は達成感を味わっている。

建った家を夕方近くまで見て話し込んでいた。

あそこは確りとはめ込んだ方が良いとか言い合っている。




今日は村人全員で魔物の狩りを行なっている。

村人は全員レベルアップしていなかった。


レベルアップは魔物を倒すことで、経験を積みある一定値に達するとレベルが上がる。

人は何もしなくても10年経てばレベル1になる。

レベル2に成るには、魔物を倒さないとレベル2には成れない。

レベル1とレベル2が素手で戦かえば必ずレベル2が勝つ。


早速マリアがキラービットを仕留めた。

旦那のロバートは、外している。練習量の違いが如実にょじつに現れてしまった。


赤毛のアッキーは、3匹目のキラーラビットの首を打ち抜いた。

大人しいシランは角度を上げて、放ち遠くまで飛ばしキラーラビットを仕留めた。

勝気なニーナは近場のキラーラビットを外すのもお構いなく射る。

その為か14匹も倒している。使った矢は40本。

優しいユナは1番遠くのキラーラビットを仕留めている。

それはユナが強化の恩恵を授かっていたからだ。

最後の普通のララは、カーボン矢に無系の魔法を付与して射った。

1匹を貫通して更に動いているキラーラビットに徐々に軌道を変え命中。

ニーナは射程内のキラーラビットが居無くなると、皆が止めるのを無視して平気で飛び出した。

アッキーが連れ戻すまで、皆は射るの中止。

本当に人騒がせなニーナであった。



旦那のロバートがレベル3になったので、狩りは終了。

俺は魔石を貰い受けて、沢山のキラーラビットをワゴン3台で皆で運んだ。


キラーラビットを解体して、食べきれない物は燻製くんせいにして保存食にする。

燻製小屋からモクモクと煙が立ち上がっている。


ララは毛皮を川で洗う為にユナと一緒に出かけている。

夕食までまだ時間があるが、マリアとアッキーとシランは食事の準備に忙しい。


今回は遠くの狩場へ行く為に、4輪バギーを7台を新たに購入。

ニーナはそのバギーをまだ乗り回している。

今では片輪走行を練習している最中だ。




バレイ都市から緊急の手紙が届いた。

それはジニーの手紙で、例の奴隷事件でバレイのアジトをつき止めて、衛兵と供に強襲。

大勢の悪人を捕まえ殺したが、ボス1人を逃がしてしまった。

この捕り物事件はバレイ都市を賑わせた。

領主をほめる民も居れば、事件の発端の俺らの話しをする民も居る。

悪人のボスが残党を引き連れて、ここへ来る恐れがあると言う知らせであった。


俺は見張り台を急いで建て、日中は交代で彼女らに見張りを頼んだ。

双眼鏡を持たせたので遠くが見えるだろう。


夜は赤外線を張り巡らして、進入者を知らせる仕組みは既に整えた。

防御の観点から来て欲しくない所には、金網フェンスを設置。

よじ登れない様に有刺鉄線も張っている。



5日後の夜にけたたましく音が鳴り、村民は皆、目覚めた筈だ。

俺は警報のスイッチを止めて、耳を集中して聞き耳を立てた。

遠くで短い音が1つ、2つ間をあけて又音が1つと断続的に音がする。

合計32も音が聞こえ、彼女達の家に明かりが付いた。


LEDライトで照らしながら、正体を照らす。

男がかすむ声で訴えた。


「何故だ、真っ暗なのに、俺を・・・射抜いた」


ニーナが勝ち誇った声で答えた。


「暗視鏡で確りと見ていたよ」


「見ていたい・・・」


「お前には恨みがタップリあるんだ。死んでもらうよ」


男の目に矢が深く突き刺さった。


違う所でも声が聞こえる。


「弟は弟は・・・この虫けらが」



夜が明けるとロバートにバーラーの町に報告に行かせた。

昼頃に検視官1人と書記官1人と兵が5人を連れて戻ってきた


検視官は1人1人丹念に調べて、書記官は言われた事を記入している。

検視官が調べ終わると兵は服など調べて、金目の物を袋に入れてゆく。

荷馬車には、既に武器が積み込まれている。


最後にボスの首を兵に切らせて持ち帰ってしまたった。

俺は立ち去る姿が見えなくなるまで見ていた。

そして振り返った。


「おまえ達はこれで気が晴れたか?」


「まだモヤモヤしてます」


「わたしには分かりません」


「私は晴れたよ。あんな奴らなんか覚えたくないね」


「わたしは少しだけ楽になりました。家族にも祈って報告をしました」


「わたしは全然晴れません。何故なんでしょう。敵を討ったのに」


「それを抱えて生きて行くしかないだろう」


彼女らは死体を見続けている。


「今日は家に帰って寝ろ。何もしなくていいから」


俺は遠くの所でユンボのパワーショベルで穴を掘っていた。

ロバートは軽トラで何回も運んで来ては、死体を投げ捨てていた。

でかい穴を掘ったので、死体運びを手伝う事にした。

その間2人は一言も話さなかった。



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