第9章【豊穣に集い、運命と共に進む未来】
プロローグ9-1【運命の女神1】
◇運命の女神1◇
春の序章である三月の終わり、【リードンセルク王国】と【サディオーラス帝国】、二カ国間で起きた小規模な戦闘。
それは小さな戦いではあったが、両国にとっては今後の展望を表す歴史への記載であり、国に住む国民たちにとっては心の休まらない事件であり。
そしてそれは【リードンセルク王国】、【サディオーラス帝国】、【テスラアルモニア公国】……三国の
◇
たったの一日、二十四時間をまるで数十日も時間をかけて歩んだような、そんな戦い……そんな長い戦いが終わり、少年は新たな女神と
「……いもう、と??」
炎上が治まりつつある村で、転生者ミオ・スクルーズは、エメラルドグリーンの髪を
その女性がいる場所は、この村を誕生させ、起こした女神……豊穣神アイズレーンの
【女神アイズレーン】に気配がよく似たその女性は、紛れもなく女神なのだろう。
「――そう、
朝焼けを吹き飛ばして、その女神の笑顔は花を咲かせる。
【女神アイズレーン】の姉、そんな言動を信じられるのか、そんな疑問を持つ事すら許されない絶対の自信……いや、事実だろう。
反論するだけ無駄……まるでそんな
「さてさてー、
女神たるその身の真下を指して、笑顔で言う。
「……え、あ。えっと……はい?」
呆気にとられるミオは返事をするしかない。
まるでそう決まっていたかのように、運命のように。
ミオは気構える前に返事をさせられていた。
「ですけど……その、アイズもあんた――じゃなくて、
「クスクス……面白い子ですね。いいのですよ、普段の喋り方で。私もその方が気楽でいいですし、アイズもそうしているのでしょう?」
警戒するのが馬鹿らしく感じるほどになり、ミオは頭を搔きながら言う。
「ええ、まぁ……その方がありがたいですけど」
エリアルレーネはミオの話し方に笑い出し、口元を押さえながらそう言う。
「……」
(なんなんだこの女神。一切気が許せねぇ……悪い感覚はしないが、油断だけはしないようにしないと駄目だよな……いや、分かってるよウィズ。お前はミーティアに、取り敢えず解決したって伝えといてくれ、頼む)
内心で能力――【
ボロボロで汚い、土煙と
「――あははははっ、相変わらずきったない家ですね、あの子の家は!あはは、うふふっ、あ!お腹痛い!」
家に入った途端、エリアルレーネは爆笑であった。
そしてミオは顔を
(なにこれめっちゃハズイ!!自分を転生させてくれた女神が笑われてんの、こんな恥ずかしいものなのかっ!?)
自分を転生させてくれた女神、豊穣神アイズレーン。
その欠点は、汚部屋の女神だという事、自己中で意地汚いという事。
(いやいや、欠点多いなぁアイズ……)
肩を落とし、ミオは自分の女神の日常を改めさせたいと思った。
しかしそのアイズの残り時間は、風前の
「……」
(させない。絶対に消えさせはしない……俺の大切な物の中に、お前はもう入っているんだからな……覚えとけ、アイズ)
「ふふっ……」
ミオの後ろ姿を見て、エリアルレーネは意味深に笑う。
まるで全て知っているかのように、運命のように……その女神は笑みを見せるのだ。
そう……それが運命の女神。
転生者ミオ・スクルーズと【女神アイズレーン】に天運を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます