7-76.5【宿の中で女神は語る3】



◇宿の中で女神アイズは語る3◇


 ミオと私の現状は理解したわ……それを回復させようと言うのは愚の骨頂、馬鹿がやる事。そう言いたいんでしょ?アイズは。

 ミオも私も、自然回復待ち……そんなの、じれったくて仕方が無いのに。

 ミオだって、きっとやきもきしてる。この三ヶ月だって、不甲斐なさにイライラしてるのを何度も見たわ……隠してるつもりなんでしょうけど。


 今アイズに言われた事を飲み込んで、私は咳ばらいを。


「……ごほんっ……それじゃあ、今度は貴女あなたの話を聞かせて」


「……あたし?まぁいいけど……いずれ知る事だし、ミオは知ってるんだし」


 肉を切りながら笑顔で言うアイズ。

 どうして……そんなに笑えるの?

 これから話させるのは、貴女あなたの生死……命の話だと言うのに。


「――ミオから聞いてるとこもあるでしょうから、簡潔に言うわね」


「か、簡潔って……そんな」


 吞気のんきの度合いが過ぎるわよ。自分の事でしょう?


「まずは……EYE’Sアイズの事について。あ~、あたしじゃなくて、あの子たち……アイシアたちの事ね」


 少しだけ声のトーンが下がった。

 アイズレーンのことではなく、EYE’Sアイズ……女神候補の人間たちの事。

 瞳に力を宿した、次代の【女神アイズレーン】と成る運命を持つ、少女。


「それじゃあ……アイシア、あの子は……人間じゃないの?」


「それは違うわ。あの子もリアも、この世界で生まれたこの世界の人間……というか種族よ。リアは【竜人ドラグニア】って言う、竜の力を持つ種族ね」


 ミオが保護した女の子ね……まだ会えてないけど。


EYE’Sアイズは六人……一人が減るのが確定だから、あと五人ね」


「ミーティアに使った【オリジン・オーブ】……だっけ?それを使ったから、減るって事?」


「そ。EYE’Sアイズ宝珠オーブは引かれあうのよ……引力のようにね

、だから……強制的に宝珠オーブを使用した事で、その分の対象者が減る。つまり……死ぬわ。ミオはそれを知らずに使った……あたしが言わなかったし、使わなければミーティアは死んでたし」


「それはいい。ミオだって……知ってたとしても使ってたわよ、ね?」


「――あ!そ、そう思います!」


 話を理解しようとするのがやっとなイリアに振ってあげる。

 ビクッとしながらも、イリアは必死に相槌あいづちを打った。


「そうでしょうね。ま、どこの国のどこの誰かまでは分からないし、さほど気にする事でもないわ。ただ……」


「ただ?」


 なに?深刻そうな顔……急に落差が。


「ただね……そうなると、EYE’Sアイズになる選択肢が狭まる・・・・・・・という事だから」


「!!」


 それって……アイシアが女神に成る可能性が、上昇したって事。


「選別するのはあたしじゃない……候補者同士。そんな顔されても、あたしにはどうしようも出来ないわよ」


「……」


 私はどんな顔をしたのだろう。

 アイシアの事を、ミオとミーティアの事を考えてしまった……ミーティアとの関係を、アイシアに告げなければならない……そんな三人の恋の事を。

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