6-135【蛮行の王国16】
◇蛮行の王国16◇
さてと……ミオが来るまで何分くらい掛かるかしら。
私とミオが鉢合わせたのは、この商店街よりも少し西の位置。
宿屋【月の猫亭】がある場所……そこで会ってから、ミオはジルの所に戻った。
既に宿には避難していた住民がちらほらといて、ミオが能力で入口を強固にしていたわ。
それから数分で、私はここまで来た。
『姉さん、ティアとイリアを頼むよ。じゃ!』……と言って、電撃を発生させて消えて行った。あの力を使えばすぐに来れるかもしれないから、持ちこたえたいわね。
それにしてもミオったら、私の返答なんて聞かないままに行ったわね。
でも……頼られたのは素直に嬉しかった。
立ち話をした商店街でミオと別れた後、私は一人考え事をしながら街をぶらぶらとしていたのだけれど、そこで意外な人物……いえ、
今は詳細を省くけれど、
そして、その王女が国のトップに君臨した
強制
あの女が言うには……“それを納得させる力がある”という事だった。
数年前にミオを狙った王女……確か、シャーロット・エレノアール・リードンセルク。
その少女が、それを成そうとしていると。
だから私は決めた。
私の新たな目的は――ミオを助ける事、ただ、それだけよ。
◇
私の相手はこの大柄な……隊長格の騎士。
ザルヴィネとか呼ばれてたっけ。
部下の騎士たちはイリアでも武具の性能で押さえられそうだけど、チャラ男はどうかしら。
あの男の視線が、どうにも嫌気を覚えるのよね。
それは……ミーティアもイリアも同じだろうけど。
だから、先ずはイリアたちに向かおうとする騎士を減らす!!
「【クラウソラス】……!」
翼に魔力を
「……全員警戒っ!!」
「――無駄よ」
魔力を
防御なんて無意味。これだけ多く騎士がいるんだもの、嫌でも当たるでしょ!
広げた翼には、無数の光る粒がちりばめ始めた。
それは魔力……【
一度、ロッド・クレザース先輩との戦いで使った切り……使う機会のなかった技。
名前も決めて無かった……光の雨。
「マズイ……!コーサル!」
魔力の感知で気付いたようね。
でももう遅い。
「光よ、降り注げ!――【
正確には地面にいるから、降りはしないけれど。
光の粒は様々な色をしていた。
光の屈折で何色にも
以前は制御も出来なくて、周囲に多大なるご迷惑をかけたけれど。
もう私にそこまで考える必要は無いんだからっ!!
――ドドドドドドドドドドド――
光線は地面を
外傷を与えない【クラウソラス】の特徴を反映させた、生物にだけ効果がある魔法だ。
「これ……あの時の魔法」
「凄いです、クラウ」
ミーティアとイリアも一度見ていたものね。
どう?全然違うでしょ?
翼の前方にのみ発射された光線は、次々と騎士たちを襲う。
まるで拡散レーザーのように。しかし、以前のように被害は出ないはず。
それだけ魔力は抑えたし、敵の数さえ減らせられればいいんだから。
「……」
「「……」」
え、ええ……控えめに言っても、無差別攻撃だったわ。
死んではいない筈だけれど、流石にやりすぎた……――っ!!
「――!?」
ムクリと……一人だけ立ち上がる。
その男は、隊長格の騎士……ザルヴィネ。
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