6-25【涙《ティア》】
◇
ゆっくりと、身体を離す。
充分な言葉を貰えた……聞きたい言葉も聞けた。
その思いに、俺は答えるさ……ミーティアの分岐点は、俺の決意の表れでもあるんだ。
「……ほら、涙拭いて。可愛い顔が台無しだぜ?」
「――もうっ、私の方が年上なのにっ!」
ぐすっ、ぐすっと鼻をすすり。
赤く
緊張感が一気に解放されて、ミーティアは膝から崩れた。
「あっ……」
「おっ……と!」
ガッ――と支えて、その顔を
真っ赤だ……耳まで。
「……ミオ。私……決めたわ、覚悟」
「戦う覚悟?」
俺が言った、捨てる覚悟戦う覚悟は……言わばミーティアの考えを聞き出す方便だった訳だが。
でも、ミーティアがそれを決めたなら……共に行くと決めた俺が、否定するわけにはいかない。
「ええ……私は、家を出る……お父様と、戦う」
簡単に許される事ではない、それは俺も分かってる。
俺が決めさせた、ミーティアの覚悟。
家族との決別は、俺にも経験がある……前世の俺は、家族を捨てたんだ。
「助言してやるよ、沢山……経験があるからなっ」
ニッと笑いながら、ミーティアの頭を撫でる。
サラサラの青い髪に光が反射して、とても綺麗で……青い瞳には涙がまだまだ溜まってて、それが綺麗に
「なにそれ、年下のくせにぃっ」
トン――と、胸に頭突き。
俺の腰に手を回して、震える。
そうだよな……決めたとはいえ、それはこれからだ。
しかも、今すぐに言いに行ける状況じゃない。
「なぁ。ミーティアって呼ぶの……止めていい?」
決別には決別を。
俺は今から……この子を――異性として、女として見る。
「名前をやめるって、事??」
「あははっ、違う違う……ミーティアの名前まで捨てろなんて言わないよっ」
「じゃあ……なに?」
「俺が呼びたいんだ……そうだな……ミーティア、ミーティア」
何かいい呼び方……ミーティアか。
ちゃん付け?いや違うな……絶対違う。
考えていると、ミーティアの瞳から……
そしてその
俺は、頬を伝うその
「――ティア」
ミーティアから少し取っただけだけど、それでも……今のこの心境を、凄く表しているんじゃないかと思った。
「どうかな、ティアって……あれ?」
ボッ――!!
俺を見上げるその顔は、夕日のように赤かった。
炎が噴き出るような、そんなティアの顔は……俺の記憶に一生残るだろう。
共に歩くことを決めた俺の、そんな覚悟……そしてその覚悟を、俺はもう一人の女の子に……伝えなくてはいけないんだ。
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