6-10【地上の空気と二人の空気2】
◇地上の空気と二人の空気2◇
下水道の奥の小部屋に、俺は進む。
先行したアレックスとか言う【リードンセルク王国】の騎士団長を追うように入ると、既に
「これは……
「そうっすね、【
「……ひ、
アレックスさん、俺、ミーティアの順に。
「速い所、地上に連れていってあげたいです。ここじゃあ衛生状態も良くないですし……」
「――そうですね。じゃあ……失礼しますよ、お嬢さん」
俺の言葉にアレックスさんは、気を失っている女の子を
ご
「……」
いい人……何だろうけどな。
どことなく、先程からミーティアの
何というか、俺とアレックスさんの間に立って……様子を
そんな空気感を感じつつも、俺たちは地上へ向かう。
そう言えばさ、気付かないうちに……俺は【オリジン・オーブ】を仕舞ってたんだよな、
これは隠しておかなければならない……心のどこかで、そう思ったのかもしれないな。
◇
「――スゥゥゥゥ……はぁ~」
空気がうまい。
外は明るいし、広く感じるな。
「……よし、お前たちは【
「「はっ、了解です!」」
部下に指示を出すアレックスさんだが……貴方は?
その命令だと、自分は【ステラダ】に残る――と、聞こえるんですけど。
「さて、それじゃあまずはこのお嬢さんを……病院に運びましょう。馬車を捕まえてきますので、少々お待ちを」
と、アレックスさんはミーティアを見て言う。
「あ、はい」
そう言ってアレックスさんは駆け出した。
女の子はベンチに寝かされている。
「……なぁ、ミーティア」
「え?」
俺は女の子を見ながら、ミーティアに気になっていた事を聞くことにした。
「あの人、アレックスって人さ……知り合いなのか?」
「……えっと、う……うん」
なんで言い
知り合いなら知り合いでいいだろ。
俺はミーティアを見ていないから、どんな表情をしているか分からない。
でも、声のトーンで何となくは分かる。
言いたくない……もしくは知られたくない。
そんな感じだ。
「【幻夢の腕輪】……どうして解除してるんだ?」
「それは……」
魔力が尽きた訳じゃないよな。
そこら辺に冒険者学生がいる【ステラダ】で、突然変身を解除する訳もない。
あの騎士の人たちが居たのと、何か関係が?
「どうなんだよ?」
俺は気付かなかった。
この言い方では、俺が彼女を
まるで周囲全部に
そんな関係でもないのに……な。
「……」
無言だ……顔を見て話してしまったら、俺がどんな顔をしてるかが分かられてしまう。
だから俺は見ない様にしていたし、ミーティアだって見られたくないだろうと思ってた。
「――なぁ?」
「ミ、ミオ……怖いよ」
「……はぁ?」
怖い……?それ今言う言葉か?
「そうじゃないだろ、質問してるのは俺だって」
不思議と、拳を
行き場のない気持ちを込めて、せめて馬鹿な真似はしないように。
でも、それを思った時点で冷静ではないし……もう馬鹿なんだよ。
「――馬車が用意できまし……おや?」
アレックスさんが戻って来た。
なんだよ、もう少し空気読めよ。
「ま、待ってました、病院……ですよね」
ミーティアが言う。
待ってた?アレックスさんが来るのをか?
なんだよ、それ。
ドス黒い気持ちを抱えながら、俺は馬車に女の子を運ぶ。
ミーティアの気持ちに気付けないのは、俺の前世からの恋愛経験値の無さか……それともただ単に、俺の持つ本質が、
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