5-82【一ヶ月まで(四週目)】
◇一ヶ月まで(四週目)◇
俺とミーティアの一週間。
クラウ姉さんとイリアの一週間。
イリアとグレンのオッサンの一週間。
その他にも、
「はぁ……
俺は現在、寮で一人……お留守番だ。
ミーティアはクラウ姉さんとイリア……女子三人でお出かけですよ。
なんか……水がどうとか言ってたけど、なんだろうな?
でもってだ……俺は、クラウ姉さんには絶対に怪しまれている。現在進行形でな。
ミーティアとの訓練時に見せた……新しい能力の発現、そのせいだな。
あの時俺は、上空から降って来た完全死角の矢を、有り得ない動きをして
初めて見たミーティアの魔法……それに気を取られて、先に矢を
その結果……俺の肩には上から矢が直撃するはずだった。
俺もそう思っていたし、クラウ姉さんもミーティアも確信していた筈だ。
しかし、俺は有り得ない
まるでホバリングだ、
しかも視線はミーティアを見ていたし、降ってくる矢の気配も気付かなかったよ。
なら
「ウィズ……説明」
『――あのままでは、ご主人様が恥ずかしい思いをするのが明白でした。なので……勝手ですが解析完了していた能力を発動させたまでです』
そういうことです。
俺が攻撃を受ける事が
ミーティアだって頑張ってるんだし、たまには俺だって練習台になるくらいはするっての。
『
「いやなんでだよ!?」
なんでお前が判断してんの!?
俺は一人と言う立場をいい事に、【
しかし、その能力さんは。
『ご主人様は強くあるべきなのです……それが――』
「それが……?」
『いえ……何でもありません』
おい、説明しろよ。
なんでこういう時だけ明確に言わないんですかね、ハッキリしてください。
『……』
こ、こいつ……だんまり決めやがった。
まぁなんにせよ、俺は新たな力を解放した……それがなんなのかは、実戦でのお楽しみってとこだな。
ミーティアはクラウ姉さんにも同じ事を
『――入口付近に生体反応……お客様です』
「は?」
ウィズのセンサー報告と同時に、ドンドン――と、部屋の扉が乱暴に叩かれる。
「珍しいな……寮母さんか?」
入学してから初めてだな。
普段は全然
掃除なんかをしてくれているらしいが、そういえば見た事ないかも。
「よっと」
俺は応対に向かう。
あれ……でも、確か寮母さんは女性だったはず。
あんなに乱暴に扉叩くか?
怒らせたのなら分かるのだが……俺なんかしたっけ?
ドンドンドンドン――!!
ガチャガチャッ――!!
「ちょっ……まっ」
取り立てですか!?怖いんだが!
つーか開けようとしてんじゃねぇか!!
急いで、俺は扉を開ける。
しかし一人でよかったな……変身してないミーティアが居たりなんかしたら、地獄だっつの。
扉を開け、俺は顔を
「――なんですか……って」
若干の恐怖で、ひょっこりさせていた俺だが……外にいた人物に
「ようミオガキ……」
その
「――ちょっ!!グ、グレンのオッサン!?」
そう……訪問者は、グレン・バルファート。
魔物図書の主であり、A級冒険者……【アルキレシィ】の依頼を出してくれるはずの、オッサンだった。
※5章サイドストーリーにて、女子会の話をする予定です。
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