5-78【空元気】
◇
その日……俺とクラウ姉さんはグレンのオッサンからの言葉を受けて、魔物図書を後にした。
特に予定も無かったが、考える事だけは多くある。
それをクラウ姉さんも理解してくれているからか、どこかへ寄ろうなどというお遊びも無いまま、そのまま寮へ帰った。
クラウ姉さんを女子寮に送り届けると言うなんともイケメンムーブをかましつつ、俺も寮へ戻る。
自分一人だけだったなら、ミーティアの様子を見にいけたんだが……なんとなくクラウ姉さんが一緒だと嫌だったんだよ、からかわれそうでさ。
それに時間も昼を過ぎていたし、もしかしたら寮に帰っている可能性だってあるだろ?
『――室内に生体反応があります』
「うおっ!……きゅ、急だなウィズ……って、やべ」
自室のドアノブに手を掛けた瞬間の【
キョロキョロと辺りを見渡して、誰もいない事を確認すると。
『誰も周囲にいない事を確認してからのお声がけです。ご主人様が叫ぶのを想定しまして』
「ぐっ……いきなりなんだよ。しかも生体反応って……その言い方怖えんだが!?」
まるで部屋に人間じゃない何かがいるみたいじゃないか……やめてくれよ、俺はホラーとか苦手なんだから。
『意味不明ですが。生命の反応体……生体反応のどこが怖いのでしょう』
だって……あ~いや、いいや別に。
それに、部屋の中から反応があるってことは。
俺はウィズに答えるまでも無く、扉を開ける。
「――ミーティアっ」
帰って来たんだ。
よかった……マジで安心したよ。
俺は室内に入ると、すぐに玄関、そしてキッチンを見渡す……が、いない。
『浴室と思われます』
風呂……か。
さ、
「でもそっか、ちゃんと帰って来てくれた……」
それだけでも、内心かなりホッとした。
俺がベッドに座り、一息
ガチャリ――と。
「……あ、ミオ!おかえりなさいっ!」
明るい笑顔で、俺に声を掛ける青髪の少女。
「ミーティア、ただいま……あと、ミーティアもおかえり」
「えへへ……ただいま!」
ん……?なんだ、この感じ。
笑顔を見せてくれるミーティアだったけど、なんだか……変な違和感が。
無理に笑ってないか?まるで、あれだ……
俺に見せたくない何かがあるかのような、うわべだけの笑顔のような。
「……えっと、風呂だったの?」
「ううん、お掃除よ。水回りの掃除はキチンとしないとねっ」
むんっ――と
いやまぁ……無いんだけどさ。
しかし、これはあれだ……昨日の事を聞きづらいな。
まるでバリアでも張っているかのような空気だ。
「そっか、え~っと……手伝う?」
とにかく、会話だけは途切れない様にしないと。
寮内の風呂は滅茶苦茶
「平気よっ、私も運動しないとね。だから、ミオはゆっくりしていてね」
断られた……これ以上はダメだな。
深入りするなって、
「……うん。分かったよ」
そうして小一時間……俺はベッドの上で待機していた。
ミーティアは、初めこそ鼻歌交じりで風呂場の掃除をしていたが、徐々に静かになり……やはり、元気に見せていただけだったんだと……俺は
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