5-64【所詮小娘2】
◇
かれこれ十数分……涙を流しながら笑い続けたアレックスさんは突然、時間を気にするように、掛け時計を一瞬だけ見やると。
急激に冷静になり、笑みも消える。
「……さて、そろそろいいかな。ふぅ……面白かった」
「え……えっと、アレックスさん?」
急に
「いえね、これで時間も
「――え。まさか……わざとあんな
それで十数分も笑い続けたの!?
この人、なんでそんな事を?
「……」
私は観察するように、アレックスさんを見る。
「いやいや、面白かったのは本当……って、そんなに見なくても、説明しますよ……安心してくださいミーティアさん」
「え。あっ!……す、すみません」
笑って言うアレックスさんだけれど、多分
でも、それはそれでいいのかも。
「私は、これでも騎士団の団長を
「え、ええ……それは分かりますが」
当然だろう……ジェイル・グランシャリオが騎士団長をクビになった際、後任が決まるのは早かった。
掲示板に張り出されているのを目撃した程度だけど……それがこの人だとは。
では
「ミーティアさん……
そんな簡単に、お見合いを受け入れたの?
「……それで、受け入れたのですか?」
「ええ……意中の人も、特にはいませんでしたしね……それに、騎士団の仕事が忙しくて、出会いは無いのですよ」
苦笑いで答えるアレックスさん……意外だわ、モテそうなのに。
「意外ですか?」
「えっ……あ、すみません」
読まれてた。
「いえ。問題ないですよ……よく、団員にも言われるのでね。ふふふ……」
本当に
見た目の
でも何か、ミオには無いなにか……それを持っている気がする。
でも……正直言って、私がそれに
「それでもこの話を受けたのは……まぁ、時間をかけたくなかったんですよ。困った事に……父もダンドルフ殿も、勝手に話を進める事が好きなようで……とんとん拍子で決まっていましたからね。それこそ、断る時間なんてありませんでした」
「そう、なんですね。でもそれって、別に私を……好き――とかじゃ、ないですよね?」
結婚なんて
そしてその答えは、アレックスさんが
「――そうですね。本音を言えば、私は年上の女性が好みですから……年下の
「ハッキリ言い過ぎでは……?でも、そうなんですね……」
そのアレックスさんの言葉に、ホッとした自分がいた。
「ふふふ、安心しましたか?……まぁ、それでもこの話を受け入れたのは……事務的に
ものの見事に
「……でもそれって、恋とか愛とかには
まるで私には
深い
「そうですね。今は騎士団の仕事が楽しいですし……だけど、父から持ってこられた話を無下にする訳にもいきません……まぁ貴族にはよくある話ですよ。大臣閣下ですしね……」
と、アレックスさんは笑う。
父親……ライグザール大臣閣下のお話しなら、確かに断れないのだろう。
そうなのかも知れない。
けれど……それを私に当てはめないで欲しかった。
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