澪から始まる異世界転生譚・少年編～手違いで死んだ俺、女神に最強の能力と武器を貰うも、スタート地点がド田舎だったのでスローライフを目指す事にした～

２－２０【凄く、凄く田舎だよ？1】

◇凄く、凄く田舎だよ？1◇

　夜中……私は目を覚ました――と、言っても、タイミングを待っていただけで、実際は眠ってはいなかったんだけど。

　私は、ぐっすりと眠っている二人を少～しだけ睨（にら）んでから、部屋を出た。

「……灯（あか）りだ」

　窓から見える隣の小さな小屋から、蝋燭（ろうそく）の灯（あか）りが漏（も）れていた。

　うん……レインさんが起きていてくれている。

　本当に待機してくれているんだ……ありがたい。

　だからお礼を言いに行こう。

　あと……この二人の失礼な態度も、謝（あやま）っておこう。

　私は外に出て、一度大きく息を吸いこむ。

　すー。はー。と、深呼吸をして……小屋に向かうのだった。

◇

　俺は家から出て……レイン姉さんに荷物を届けに来ていた。

　レギン母さんからのお𠮟（しか）りも終わり、先に出ていたレイン姉さんを追って、この物置小屋に来たんだ。

「――お待たせ姉さん。布団とか色々……っと、持って来たよ」

「わぁ、ありがとうミオ。頼りになるね、男の子は」

　笑顔で言うレイン姉さん。

「あ、あはは……」

　へへへ……照れんじゃないの。

　滅多（めった）にないから、むず痒（がゆ）いんだが。

「それにしても、クラウはまだ帰って来ないの？」

「あ～うん、まだだよ。父さんも戻って来てないし、もしかしたらすっごく怒られているんじゃないのかな……？」

　レイン姉さんはクラウ姉さんを心配してるのか……優しいなぁ相変わらず。

　――と、吞気（のんき）に会話をしていたいんだけど……俺にもまだやる事があるんだよね。

　そうだよ。捕縛（ほばく）した兵士の片付け……じゃなかった、搬送（はんそう）だよ……クラウ姉さんの言い方移っちまったじゃんか。

「それじゃあ、僕は男衆（おとこしゅう）の手伝いに……ん？」

　人の気配？外からだ。

　コンコン――。

「あら？」

「僕が出るよ……」

　立ち上がろうとしたレイン姉さんを制して、俺が入り口に向かう。

　流石（さすが）に悪い事ではないだろうが、用心するに越した事はない。

　レイン姉さんを狙う害虫（むし）かもしれんしな……

「――はい、どちら様です……」

　か？と言い終える前に、俺は固まってしまった。

　ドアの隙間（すきま）から見えた青い髪で、もう察（さっ）してしまったんだ。

「あ、あなたは……」

「――え！？あ……あれ？な、なんで」

　おっとと。もしかして俺よりもテンパっていらっしゃる？

　もしかして予想外だったのかな、俺がいるのが。

「あ～……えっと」

　俺も何を言っていいのか分からず反応出来ないでいると、後ろにいるレイン姉さんが。

「あら、えっと……確か、ミーティアさんだったかしら？」

「――あ、はい！さっきはその……食事ありがとうございました！！しかも他の者が失礼な言動までして……すみませんでした！」

　お～。何という綺麗なお辞儀（じぎ）。

　心が日本人の俺でも、感心したくなるレベルの綺麗さだな。

「あぁ。いいんですよ？あなたが言った訳では無いんですし、それに本当の事ですから……ねぇミオ？」

「――え。な、何が？」

　他の者って事は、残りの二人か……おおかた男の方だろうが。

　レイン姉さんは物凄く寛大（かんだい）だからな、その男の無礼をレイン姉さんが許すなら、俺も黙って許すさ……まぁ、内容にもよりけりだけど。