1-61【問題はここから】
◇問題はここから◇
両親に閉じ込められてしまった……子供を大切に思う親の心に、幼い心では
さて……問題はここからだな。
ハッキリ言って、この子供部屋を脱するのは簡単だ。
なにせボロ家だ、
無理矢理出ようとすれば、多分
「――父さんっ!開けてよ!!父さんっ!」
俺は扉を叩いて、わざとらしくアピールする。
そして直ぐに扉に耳を当てて澄ませる。
よし……ぼそぼそとだけど聞こえる。
多分、ガルスの母親に謝罪してるんだ……協力できなくて申し訳ないと。
私たちも子供を守らねばならない、と。
ごもっともだ、ごもっともだよ父さん。
だけどさ、それじゃ
盗賊が近くにいる以上、村で大人しくしてても無意味だ。
黙ってたって、その内盗賊は村に来る。
だから隠れてたって、盗賊が見過ごすことはないんだ。
「――ミオ」
おっと、クラウ姉さんに呼ばれている。
「なに?クラウ姉さん……」
「今の状況、ミオが一番分かってるみたいだね。だから……」
「うん。分かってるよ……行こうっ」
こうなりゃ強行だ。
閉じ込められたって、こんなボロ家……抜け出すことは簡単だ。
事実、実は何度も自室から抜け出している。
今まではこんな
しかし、俺とクラウ姉さんの考えに、一人理解を示さない人物もいる。
「――ま、まって!!二人共何を言ってるの……?助けたいのはお姉ちゃんも同じだけど……あ、危ない真似をするって言うのなら、お姉ちゃんはここを通しません!」
レ、レイン姉さん……
俺は屋根裏から抜け出していたんだ。レイン姉さんは、その真下で両腕を広げて立っていた。バレっバレかよ……恥ずかしい。
「レイン姉さん……そこをどいてくれない?」
「――嫌よっ。クラウもミオも、父さんの言う通りに大人しくしてて!きっと、大人たちが解決してくれるからっ!」
分かるよ。気持ちは分かるさ。
でも、俺とクラウ姉さんは知ってるんだ。
このくらいの時代設定のファンタジーな世界の事情を、きっとレイン姉さんや父さん……いや、この村の誰よりも知ってる。
「お姉ちゃん。ミオの言う通りよ……どいて。お姉ちゃんは黙って家に居ればいい……それに、さっきは同意してくれたでしょ?」
「そ、それは……でも、
クラウ姉さんの言い方だと、レイン姉さんの気持ちを
こういう人には、
クラウ姉さんも言ったけど、さっきは同意してくれたんだ……聞く耳持たない人じゃない、レイン姉さんなら分かってくれるよ。
だから俺は、レイン姉さんに話を聞いて貰う為、彼女の正面に立つのだ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます