1-42【女神の囁き1】
◇女神の
「――あら?その子が弟?」
肌を焼くような恐怖。
俺は聞こえないふりをして、
しかし、クラウお姉ちゃんはその声に答えたのだ。
「……そうよ」と返答。まるで、この声の主が来るのを分かっていたみたいに。
いや、分かっていて当然なのだ――
「それにしても意外ね?」
「……なにが?」
「だってそうじゃない?こっちに来てから、あなたは誰にも心を開かなかったんでしょ?まさかこんな小さな弟くんをここに連れてくるなんて……意外でねぇ」
その女の声は、クラウお姉ちゃんをからかっているような
「
この子――って、俺の事だよな?それに……
「確かにそうねぇ、でもいいのかしら?この子をここに連れて来て……」
「――最初に大丈夫って言ったのは、
バッチリ聞こえてんだよな……姿は、昨日チラッと見ただけだし、今は気付かれない様にするので
「そうねぇ……確かに言ったわ。でも、その条件は――」
「――分かってるわよ。
――は?今……なんて言った?
転生者!?女神!?お、おいおいおいっ!心当たりがありすぎなんだが!?
それに――って事は、クラウお姉ちゃんは……俺と、同じって事だよな!?
「うふふ……そう。この私、【女神イエシアス】の声は、本来この世界の住人ではない人間、つまり転生者にしか聞こえない……あなた、
せ、せいな?まさか日本人……か?
で、でもそうか、前世の記憶もあるのなら……あれだけませてた理由も納得できる。
俺と同じで、色々と知っていたからだ。その
「――前世の名前で呼ばないでって言ってるでしょ?それに、
目的?女神の?……なんだ、それ。
「うふふ……それが、ぜ~んぜん
やけに簡単に言うじゃないか。
まるで……決まっていたセリフの使いまわしだ。
「――ムカつくわね、その言い方」
あ、なるほどな……クラウお姉ちゃんを怒らせる言い方なのか。
俺は
そしてそれを、女神に気付かれた。
「ねぇ、弟くん……動かないわね?」
「ん?……あ、本当だ」
やっべぇ!……ど、どうする!?クラウがこっちに来てしまうっ!!
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