第29話 幕間 ライム・エリクシール

私はこの世界の意志。生まれたばかりのこの世界は経験も情報もない中、手探りで世界を作った。そして分岐する世界線は最後には滅ぶ道から外れることができないことに絶望することになる。


当時の私は人間的な感情のないまま機械的に繰り返し、何かにかられるように感情のないまま試行錯誤を行った。


結果はすべて失敗。何をどう足掻いても消滅の未来から覆すことができなかった。




干渉せず時の流れに任せれば唐突にエネルギーが消失する。


エネルギーを生産するために植物に干渉すれば、エネルギーが飽和し自壊する。


生物にも干渉し、消費を操作すれば、ひと時の安定を得たが時間とともにバランスがなくなっていく。


知性持つ者に干渉すれば、さらに安定したが知性持つ者が暴走する。


それからも様々なことに干渉、不干渉を行ったが結果は大きく変わることはなかった。


一番の問題は他世界からの干渉だ。どれだけ高度な文明に安定して発展できたとしてもより高度な文明に侵略され同じ結果を繰り返す。


機械的に繰り返していた私は情報を得るために世界の狭間を漂流する強固な魂の情報を収集することにした。


それが今のエリアスだ。


私は魂の情報を得たことでエラーを発生させる。これが後に感情だと理解するまで長い時間が必要となったが今はいいだろう。


様々な世界を渡り歩き、様々な一生を経験したエリアスの魂は良くも悪くも影響を与えた。


情報を取り込む過程で本来はリセットされる意識が覚醒するといったトラブルは生じたが結果としてそれが私にとって最適解となる。


紆余曲折を得て、エリアスと共に歩んだ世界線は滅ぶことのない世界という最良の結果を残した。


長い年月の中で人間的な感情が芽生えた私、ライム・エリクシールは一つの不満を覚えた。




エリアスの影響しない英霊が欲しい。




世界を安定させる機構の一つである英霊システム。エリアスと歩んだ世界線にはエリアスの影響を受けた英霊しか存在しない。いい意味で個性的な英霊たちだがエリアスが絶対であることには変わりなくほんの少し面白みに欠けるというか、、、ぶつぶつ言ったが要するにエリアスずるい。


いいな~いいな~ 私も私が思い描く英霊とか仲間にしたいな~ みんなとってもいい子だけど誰も私に逆らおうとしないの! 悪い子が欲しい訳じゃないけどみんないい子過ぎない!? 他世界から来た不死者なんかは好き勝手してるのに、英霊たちはみんなエリアス様のため~とか、ライム様のため~とか、だーーーーーれも不満を漏らさないの!!


みんなも自分のしたいことをして楽しく過ごしていることはわかっているんだよ? でもでも、あんまりにも献身的にされちゃうと申し訳ないというかもっと好きなことしてもいいんだよ?と思っちゃうというかさ~


エリアスは一時期、神的な感じで崇められちゃって諦めてるみたいだけど私は諦めきれない!! もっと自分の目的のために世界を飛び回るような、不死者たちみたいに好き勝手するような子が欲しいの!!


別にこれは私のエゴだけってわけでもないわ。情報収集の意味でも私の意図しない動きをしてくれる子は必要なの。同じような子だと似たような情報しか手に入らないわ。それだと新しい情報は入りにくいし想定外の出来事に後れを取ることになるわ。その対策という意味でも悪いことではないのよ。


まぁ、八割ぐらいはずるいと思ってるだけなんだけども・・・


コホンッ 少し感情的になったが新たな英霊が欲しいと考えた私は様々な方法を試した。


複雑に絡み合ったステータスから英霊に至るまでの最適化。その時代その時代に合わせて情報を整理すること。英霊へと至る可能性のある者の選定。直接私が関わる方法がないか?とも考えた。


特に力を入れたのは情報の流布。英霊、英雄の霊魂が欲しいといっても英雄へと至る方法を知らなければ偶然でしか英霊へと至ることができない状況となる。


この世界は様々な世界と関わる過程でステータスといった理が複雑に混じり合い変動が激しい。特に人類文明が発展してからは破壊と再生のサイクルが早い為、その時代によって強者への最適解が大きく変動することになる。


過去の伝承や伝説が今の時代には合っておらず大きく間違ってると判断されることも良くあることだ。


そんな情報の齟齬を解消するために私はその時代毎に情報を整理し、広く知的生物に流した。


時に物語という形で言い伝えの様に流し、時に旅の吟遊詩人を装い情報を広め、時に同じ生物の姿を形どり強さの秘訣を話す様に交流を持ったこともある。


その多くは突拍子のない内容のため誰も見向きもしないが一部の者が己の望みをかけて実行することがあった。


道半ばで命を落とす者、途中で挫折しそれまでに手に入れた力で平穏に暮らす者、やり遂げたが一つの油断で命を落とす者、情報を正しく理解していなかったが故に間違った道を歩む者など情報を基に英霊へと至るものは終ぞ現れることがなかった。


それでも諦めきれなかった私は時代が進むごとに何度も繰り返し続けた。




そして転機が訪れる。英霊へと至る者が初めて現れたのだ。


個体名セイ、後にセイ・ヴォフク。初めてエリアスが関わることなく英霊への道を切り開いた。


セイは私も予想外のルートから発生した。それは私が趣味で出版していた本からのルート。私が好きなこと、いいままで経験したこと、特に気分転換に行う釣りについて出版していたそれらの本から情報を得て強さを手に入れたようだ。


これまで流してきた情報の中でもより突拍子のない内容。ジョブが主流の時代において誰も見向きもしない内容の為、一応情報を整理していたがあまり観察していなかったルートだった。


内容は大きく分けて五つの項目に分かれる。


・種族を人間に固定する

・悪食を習得する

・スライムを主食とする

・基礎職業を全て完全習得しジョブを遊び人にする

・レベルを1にする 


最難関の項目が種族を人間に固定すること。神のいないこの世界において架空の何かにお願いすることは困難となる。分かり易いように教会で願えばいいと簡単に書いていたがよほど思い込みが激しくなければ何も変化は起きない項目だ。


種族を人間に固定するという考えもひどく曖昧なもの。自分は人間以外の何者でもないのにそれを変化しないようにする?というのは書いていた私でも思い返してみれば意味の分からないものだ。この本を手に取った者はなぜその様なことをしなければならないのかわからないだろうし、実際に教会で祈ってみても変化が起こらない為困惑することになるだろう。


それをセイは簡単に乗り越えた。セイは私が書いた生活魔法を全て習得していたことで障害とならなかったようだ。


生活魔法を『全て』習得したことも驚愕に値する。多くの人はどれか一つの魔法を習得するだけで限界のところをセイは七種類の魔法の全てを習得した。


生活魔法の習得方法は簡単に表せば自己暗示。理が混じり合った表のステータスではなく、この世界本来の原初のステータスを基に習得する方法だ。もう一つのステータスは認識することもできない為、スキルポイントがあったとしても振り分けることができないのがセイが生きていた時代。そのスキルポイントを振り分けるための方法が私が書いた【メイドの嗜み 生活魔法編】だ。


多くの人は生まれながらに裏ステータスが埋まっていることがある。才能として大なり小なり発現するためスキルポイントが勝手に割り振られる。さらに日常生活の中でも勝手に割り振られることがあるためスキルポイントが残っていないことも良くあることだ。


【メイドの嗜み 生活魔法編】は、スキルポイントを使い、八種類のスキルを獲得する。


【クリーン】:『再生』『分解』『魔眼』

【ヒール】:『強化』

【ウォーム】【クール】:『振動操作』

【ドライ】:『魔力操作』

【ウォーター】:『召喚術』

【チェンジ】:『収納空間』


スキルポイントを8ポイント消費するのではなく、スキルポイントを八種類のスキルに割り振るように自己暗示するため、最終的には80ポイント消費することになる。


レベルの上昇で獲得できるスキルポイントは100。英霊へと至り位階を上昇させることで獲得できるスキルポイントは10。合わせて110ポイントまでしか獲得できない貴重なものだ。


その内の80ポイントも消費してしまうため多くの人は全ての生活魔法を習得することができない。


才能のある人はそれだけでポイントを消費しているし、一般の者も日常生活の中で意図しないタイミングで消費することがあるため結果的にポイントが足らなくなる。一生のうちにこの生活魔法を全て習得できるものは実質いないことになる。


しかし、セイは全て習得して見せた。生まれながらにスキルを持っていなかった。レベルが少し上がってすぐ生活魔法の習得に乗り出した。セイは周りと比べて『戦闘技能』の才能がないと思い込んでいた。他にも様々な要因はあるがスキルポイントを80も消費する予定のない中、生活魔法の習得を始めたので全ての生活魔法を習得するに至ったものと思われる。


話を戻すが、生活魔法を習得していたおかげで、種族を人間に固定するという最難関の項目を簡単に成し遂げることができた。


次の悪食もスキルポイントを消費する項目。私が最終手段として書いていた内容を実行し習得に成功する。


スライムの常食についても私はスライムを食卓に並べるものと考えていたが柔軟な発想で共生関係を確立し乗り越えた。


残る項目はレベルを上げるだけなので時間はかかるだろうが不可能な項目ではない。順調にレベルを上げていき全ての初級職の完全習得後、遊び人へとジョブチェンジし最高峰の能力値上昇率を手に入れるに至った。




そこで少し問題が発生する。セイは自力で英霊へと至るのだが、その精神が酷く不安定なのだ。英霊となったセイは自分の事を顧みず強さに固執する。自身へ向けられる感情を無意識なのか認知しない。幼くして英霊と至ったため大人として成長する過程が全て削除されてしまう。


これは問題だ。とても寂しい人間となってしまう。もっと人と関わり信頼し信頼する環境が必要と私は考えた。




そこで白羽の矢がったたのがアドリアナ・ヴォフクだ。


選定条件はいくつかあるが一つはセイが探索者学校を卒業するまでの間にかかわることのできる人物であること。二つ目にセイと同じ英霊へと至ること。この二つを中心に考え、セイの環境に変革をもたらす人物を探した。


セイの様に短期間で同時期に英霊へと至る人物などいなかった。ならば他の方法をと考えた時、思いついたのが同じ時間を繰り返す方法だ。


同じ時間を何度も繰り返すため三つ目として発狂しない強固な精神が必要となる。その他にも様々な選定条件を追加し見つけ出したのがアドリアナ・ヴォフクだった。


これは賭けだった。他に候補となる生物はいなかったためにとても残酷な状況に彼女を突き落とした。


何度も繰り返す彼女の時間を私は見守り続けた。徐々に狂っていく様子を見ながらも最後まで彼女を見続けた。私が介入するわけにはいかなかった。信頼し信頼する関係というものは当事者たちで作りあげなければ意味がないからだ。


最悪、この繰り返しの時間をなかったことにしようと考えた時、リアナは成し遂げた。自力で状況の打開方法を見つけ出し、繰り返す時間を活用してセイに並び立つ能力を手に入れることに成功した。




これにより懸念事項だった不安定な精神は安定を見せる。相互依存という歪なものであったが両者が互いに独占欲が強い以外に問題はない。傍から見れば仲が良すぎる夫婦というだけだ。それにセイにはこのぐらい感情を表に出せてくれる者でなければ認識することも困難だっただろうとも思うのだ。




その後も私は成長していくセイとリアナの様子を観察し続けた。五年ほど迷宮都市で過ごし、冒険者として各地を旅する。死地を探す旅は見つけるまで膨大な時間がかかりそうだったので、ここで私は手助けをすることにした。


エリアスや各地の精霊に協力を仰ぎ、私主催の試練、ライムの試練を開始する。


試練の目的は位階の上昇。特定の条件をクリアしなければ上がらない位階の上昇を目的とした試練だ。


位階の上昇方法

・英霊となる。魂装を獲得する。

・第一の試練を乗り越える。

・第二の試練を乗り越える。

・第三の試練を乗り越える。

・魂装を習熟する。

・魂装を発展させる。

・魂装を応用させる。

・魔力を完全に支配する。

・魔法は必要のない力。

・物理が全てを解決する。



英霊となることでまず位階がⅠに上昇する。


英霊へと至るには原初のステータス、裏ステータスが関わるものが最も分かり易い。


・レベルが100以上、ステータスの値が合計3000以上、知的生命体による認知度。

・レベルが5000以上。

・ステータスがすべて999カンスト。

・9割以上の知的生命体による認知。


セイはステータスのカンストにより英霊へと至った。対してリアナはレベルが5000以上になることで英霊へと至る。



第一~第三の試練についてはそれぞれの魂によって異なる。


セイ:一の試練 自身の体質を理解する。

   二の試練 自身の特性を習熟する。

   三の試練 自身の特殊性を昇華させる。


第一の試練は自身の血筋、血脈について理解すること。他世界のステータスに適応してきた血に対する理解を完璧にすることで達成となる。


第二の試練は自身の特性、適応能力について習熟させること。血脈だけでなく、種族を人間に固定されることによる適応能力、理想の遊び人としての万能適正、それら複合的な相乗効果の完全習熟することで達成となる。


第三の試練はこれまで習得した自身の特殊性を昇華させること。生活魔法、職業スキル、習得した才能スキル、適応した能力、自身の今までの経験、獲得した能力を基に独自の能力へと叩き上げることで達成となる。


リアナ:一の試練 感情の限界突破。

    二の試練 ループからの脱却。

    三の試練 意思を取り戻す。


第一の試練は感情の限界突破。繰り返しの時の中で無意識のうちに諦め閉ざした善悪様々な感情のコントロール。ぐちゃぐちゃに混ざり合った複雑な感情をまとめ上げ、ある一つの感情へと限界突破する。


第二の試練はループからの脱却。時間のループ能力を自身で操作することができるようになること。自分の意志で自身の道を決定する能力。


第三は試練は意志を取り戻すこと。一度壊れ、歪に修復された精神を元の正常な精神へと再構築すること。記憶の取捨選択も同時に行い整理しより強固な精神へと叩き上げる。




魂装の習熟、発展、応用は言葉の通り。


獲得した魂装を完全習熟する。全ての機能を理解し自身の糧とする。


発展は獲得した魂装をより多次元的に活用できるように試行錯誤すること。一つの機能に囚われず柔軟な発想から本来の能力とは違った機能を作り上げる。


応用は全く違う機能を作り上げること。セイは54枚目のジョーカーを作り出した。リアナは独自の冥土という概念を作り出した。




魔力の完全支配は自身が持つ魔力を完全にコントロールし無駄なく扱うこと。陽炎の様に魔力が漏れ出るなど以ての外、エフェクトなど省略し自身が起こしたい事象のみ魔力を最適に活用するすべを習得することで達成となる。魔力操作のその先の秘奥であり奥義。全ての世界に通用する技術となる。


そんな苦労して手に入れた魔法という超常技術を本来の世界においては必要のない産物であると理解することが次の試練の達成条件。魔法がなくても世界は周り、生き物は生きていくことが可能であること。魔法という現象は余計なものでしかないことを理解することで達成となる。


最後にどのような世界においても物理で解決できないことがないことを理解すること。どんなに超常現象を知り尽くしたとしても不変の物理現象を覆すことにはなりえないことを理解しなければならない。魂の輪廻は乱されることはない。生命の誕生に関わるなど不可能。どれだけ極めたとしてもどれだけ知り尽くしたとしても一つの存在が知れる情報など高が知れている。そんな当たり前のことを理解することで達成となる。




セイとリアナが位階をⅩまで上げるのに約5000年近くの月日が経過した。ライムの試練はセイたちのいた時代より3億年ほど過去に飛ばしている。私の予想でもエリアスと同じく一億年以上かかると予想していたのだがいい意味で予想を裏切られた。


私が想定できない成長速度で二人は成長を続けた。エナジースライムのビーちゃんに関してもエリアスが気を利かせたようでなかなかの成長速度を実現させている。




イフリートに一矢報いる姿を確認しこれにてライムの試練達成となる。


イフリートは壮絶な見た目以上に重傷だった。魔力で構成される万能細胞のほとんどが死滅させられており、魂にまで少なくない傷がついていた。最後まで立っていたのは只のやせ我慢。先輩としての意地だったのだろう。


エリアスの銃弾により全員完全修復する。


「エリアス様、ありがとうございます」


「最後のはいいのをもらったなイフリート」


「ハッ 最後まで手札を隠しているとは思いもよりませんでした 私もまだまだです」


「まぁ、お疲れさん 修行もほどほどにな?」


私はこれまでの事を思い返し情報を整理しているとエリアスから話しかけられる。


「んで、こんな感じで良かったのか?」


「うんうん 完璧ね これにて私からの試練 ライムの試練達成よ!!」


何度確認しても完璧。予定よりも大幅に時間の短縮。私も予想だにしていなかった魂装の応用方法。何をとっても素晴らしいという他にない。


「迷宮でステータスの土台を作り上げ、今回の各環境で位階を最大値まで上昇させる 目的は完璧に成し遂げてくれたわ 初めて、エリアスが関わらない英霊の誕生よ!」


「リアナには少し関わったが、セイは確かにそうだな んー間接的に関わっている気がするが、、、まぁいっか」


エリアスは自分が何もしていないような感じが少し不満なのかな?感謝して知るのは変わらないので伝わってくれていると嬉しい。


「これからの予定は何かあるのか?」


「んー 特にないわね 私がお膳立てできるのはここまでよ これから進む道は見通せないわ」


「なるほどねぇ~」


ここから先は見通せない、、、というか見通す気がない。分岐する世界戦を確認することもできるけど人間的感情を手に入れてからは面白みがなくなってしまうのでその時その時で対応しているのが現状だ。


「そういえば、どれぐらいこの試練に挑戦してたんだっけ?」


「だいたい、5000年ぐらいね リアナはその二倍は過ぎていると思うわ」


「思っていたよりも時間はかからなかったな 一億ぐらいかかると予想してたんだが、、、」


「エリアスが生まれた初期と比べれば、今の時代は成長しやすいのよ 他世界の理を取り込んだステータスは結構優秀よ?」


「崩壊と再建を繰り返してきた人類文明は無駄ではなかったってことか、、、」


ちょっと自分としても予想外だったことは内緒にしておく。


ちょっと冷や汗をかきながらハラハラしていると三人目が会話に参加する。


「あとは、俺が元の時代に届ければ終了か?」


「だな 裕椰、後は任せるわ」


「りょーかい 時渡は俺の得意分野だからな パパっとおわらせますかねぇ」


不死者が一人、白玖裕椰ハクユウヤはセイとリアナを回収し、セイ達が元居た時間軸へと姿を消した。


「二人はこれから何をなすのかねぇ~」


「とても楽しみだわ!」


本当に楽しみ。今までない英霊の誕生。これまででも様々な新しい情報を獲得することが出来ている。これからどうなるのか今まで以上に退屈しない日々が続きそうな予感。


「うし、帰るぞーイフリート」


「ハッ!」


残った三者は雑談をしながら元の場所へと帰っていった。




セイたちは元の時代へと送り届けた。これから何を成すのか何を失敗するのか、私にはもう見通すことができない。しないと取ってもらっても構わないが実際に見通すことができない。この予想外も私にとっては新しい新たな情報だ。


私はこれからも彼らを観察し続ける。






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ライムのちょっと詳しい過去は短編『スライムな世界監視』をご覧ください。

この世界の土台のお話となっています。

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