第128話 召喚魔法
「ダグラス様、どうでしたか?」
「召喚魔法という魔法を習得した。」
「召喚魔法ですと!?」
「…どうかしたのか?」
「それは彼の大魔王様が配下を増やすためにお使いになった魔法でございます!!」
「そうなのか…」
魔王候補者の能力の一つ、配下のステータスがそのまま自分のステータスに上乗せされるというものを最大限に引き出せる代物ではないか。
早速帰ったら戦闘用に何かを召喚してみようと思う。
「グレイ、帰るぞ。」
「はっ!」
俺はグレイを連れて玉座に”転移”した。
「あ、おかえりなさい!早かったわね。」
「ただいま。何かあったか?」
「何もなかったわよ!」
「そうか。リリスは”召喚魔法”を知っているか?」
「ううん…」
「…そうか。お疲れ。もう持ち場に戻っていいぞ。」
「ええ。」
リリスもそれなりに長く生きているから知っていると思ったのだが…
当てが外れてしまった。
「グレイ、早速”召喚魔法”を試そうと思う。何か知っていることはあるか?」
「申し訳ございません…彼の大魔王様が使っていたこと以外は知りません…」
「…そうか。」
やはり穏健派で魔王に仕えたことがない者たちに聞いても知らないか。
後は自分で何とかするしかない。
「じゃあグレイは城の外で立ち入りを禁止してくれ。」」
「はっ!」
とりあえず”召喚魔法”をSランクまで習得し、”鑑定”と”賢者の石”で調べた。
まとめると、
1.召喚される者の能力は、召喚時に込める魔力量に依存する
2.依り代を用意することで、召喚したい者を自由に召喚できる
3.召喚された者は皆、召喚者に絶対服従の束縛が施されている
4.召喚数、召喚する者の質は無制限である
といった感じだ。
『なるほど…つまりチートか。』
魔力だけで兵力を増強でき、自分のステータスも増強できる。
改めて考えてもチート以外の何物でもない。
『もう世界征服とか夢じゃないな。…案外面白そうだな。』
とはいっても俺は人族を恨んでいるわけでも復讐を願っているわけでもないのでしないが。
『とりあえずやってみるか!!”召喚”!!!』
唱えると、目の前に半径5mほどの魔法陣が現れた。
そして、魔力を込めれば込めるほど全て魔法陣に吸収されていく。
『最初の召喚かぁ…偏見だけど魔王軍と言ったらアンデッドかなぁ…?』
そんなことを考えながらもずっと魔力を注ぎ続けた。
そして最大MPの2/3をつぎ込んだ頃、魔力の吸収が自然に終わった。
『おっ!来るか!?』
魔法陣がひと際輝き、何かが魔法陣の中から出てきた。
「儂を召喚したのはお主かの?」
「ああ。ダグラスだ。」
「そうじゃったか…このノーライフキング、ダグラス殿に忠誠を誓いますぞい。」
「…ああ。」
まさか最初の召喚でアンデッド系の頂点、ノーライフキングを召喚できるとは思わなかった。
”鑑定”してみると、グレイと同等程度の強さだった。
「ダグラス殿や、儂は何をすればいいんじゃ?」
「そうだなぁ…俺の領地ヴァルハラに攻めてくる者の殲滅を頼む。」
「了解じゃ。」
「それより、お前に名前を付けてもいいか?」
「おぉ…こんな儂でも名前を付けてくださるのかの…?」
「ああ。」
とりあえず名付けにもMPを消費するのでポーションを飲んでMPを全快した。
「そうだなぁ…今日からお前の名前はグリムだ。」
名付けをした瞬間、最大MPの1/3を持っていかれた。
そして、今やその力はグレイをも上回って俺に次ぐ強者となった。
「…ダグラス殿、本当に感謝するのじゃ。」
「気にするな。それで、グリムの部下も召喚しようと思うんだが、要望はあるか?」
「儂も召喚できるんじゃが…ダグラス殿が召喚した方が強いからの。できれば上位アンデッドをひと通り10体ずつ頼むのじゃ。」
「分かった。じゃあ召喚したい種類の依り代、例えば身体の一部とかは出せるか?」
「可能じゃの。ほれ、受け取るのじゃ。」
そう言って何十本も骨を出した。
「ありがとう。じゃあ始める。グリムは少し離れていてくれ。」
「了解じゃ。」
それからスケルトンナイト、スケルトンウィザード、スケルトンアーチャー、スケルトンアサシン……とグリムの要望通りに召喚し、名付けをした。
「おぉ…本当にダグラス殿には感謝してもし足りないの…」
「気にするな。ヴァルハラを頼むぞ。」
「儂に任せるんじゃ!!」
上位アンデッドたちは各々Aランク冒険者三人分程度の能力を得た。
もはやグリム達だけで世界征服できそうだ。
『…これでヴァルハラの守備は安心だな。』
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