第121話 リリス
巨大な魔力の持ち主がすごい速度でこちらに向かってきたと思ったら、突然話しかけてきた。
肌にピッタリくっついていて大事な箇所しか隠していない服に豊満な胸、尖った尻尾、艶やかな顔…サキュバスだ。
俺は突然の会話とその容姿に驚いて少し言葉に詰まった。
「あ、ああ。…お前は?」
「あたしはリリス!!サキュバスの女王よ!!!」
「…くたばっていればいいものを。」
「あらグレイ。あなたの方こそまだ生きてたのね。」
グレイの丁寧ではない言葉使いを久しぶりに聞き、少し驚いた。
それより、二人はどういった関係なのだろうか。
「魔王様、こいつのことを気になさる必要はありません。ささ、早く帰還いたしましょう。」
「ちょっと待ちなさいよ!!魔王様、あたしに仕えさせてくれない?」
「二人とも落ち着け。一旦どこかで落ち着いてから話そう。」
「了解しました。先程は失礼いたしました。」
「ごめんね魔王様ーーー!!」
俺は二人を連れてグレイの城に”転移”した。
「それより、さっきの話なんだがどうして魔王は一人しかいなかったんだ?」
「それはの魔王因子を持つ者を喰らうと死の魔力が強くなるからでございます。」
「なるほど…」
ということは、もし他の魔王候補者たちに俺が魔王因子を持っていることがばれたら厄介なことになる。
グレイとリリスには何としても口止めしなくては。
「ところでリリス、さっき俺に仕えたいと言っていたか?」
「うん!!あたしと他のサキュバス総勢52人全員!!」
「単刀直入に聞く。リリスたちは過激派か?」
「戦いなんて面倒くさいだけよ!!あたしたちサキュバスはただ性を喰らって生きていればそれで満足だもの!!」
「そうか…なら分かった。」
ここで断って、他に仕えられる方が面倒くさそうだ。
そしてその仕えた魔王候補者が過激派だったら余計たちが悪い。
「じゃあこれからよろしくね魔王様!!」
「ああそれと、呼び方はダグラスにしてくれ。グレイもな。」
魔王様呼びでばれたらあまりにもばからしいのだ。
「承知しました。ダグラス様。」
「分かったよダグラス様!!」
「おいババア、口の利き方には気をつけろ。」
「はぁ?グレイこそジジイだろ!!」
「あ?やんのか?」
「上等よ!!」
また喧嘩が始まってしまった。
どうしてこう二人は仲が悪いのだろうか。
「二人とも落ち着け!!!」
「はっ!失礼いたしました。」
「ごめんなさい…」
「それで、どうして二人はそんなに喧嘩するんだ?グレイ、説明を。」
「はっ!私めとリリスは幼馴染でございます。つい300年ほど前、ほんの口喧嘩が大きな戦争に発展したのです。それ以降、お互い牽制し合っているといったところでしょうか。」
「は?幼馴染とか羨まし!!俺にはいないんだが??」
内心ではキレつつも、ポーカーフェイスで誤魔化した。
「そうか。グレイ、リリス、今後一切喧嘩をするな。」
「はっ!ダグラス様の仰せのままに。」
「分かったわ。」
魔王候補者の命令権が高いようでよかった。
「それより、リリスたちも増えたことだし拠点はどうする?」
「あたしはダグラス様がいればどこでもいいわ!!」
「そうですね…サキュバスたちだけならこの城で足りますが…今後のことを考えると拠点を新たに建てた方がよろしいかと。」
正直魔王のいざこざに関与するつもりはない。
しかし、他の魔王候補者と対峙する可能性が高いので勢力を拡大しておいた方がいいだろう。
「そうだなぁ…グレイ、この城を中心に勢力圏を拡大していくことは可能か?」
「可能でございます。」
「分かった。ならこの城を俺と幹部の拠点にし、配下の者たちは周りの住居で暮らしてもらう。」
「ダグラス様ーー!!この城の周りは空き地だけど…建築は誰がするの??」
「あぁ、それなら俺が担当しよう。」
以前魔人化率を下げるために取得したうちで”空間把握”や”構造把握”、”複製”、”建築”などを使えるだろう。
というより、せっかく習得したので試してみたいのだ。
「いけません!!ダグラス様が働いては下の者に示しがつきません!!!」
「落ち着けグレイ。逆に適任者はいるのか?」
「それは…リリス、そちらにはいるか?」
「いないわ…」
「なら俺がやるのが手っ取り早い。というより、俺の希望だ。」
「はっ!了解しました。」
俺は城の外に出て”空間把握”で城の周りの地理情報を確認した。
そして以前”構造把握”で奴隷たちの屋敷の構造を理解したので、それらを”複製”した。
「流石はダグラス様…」
「ダグラス様すごい!!!!」
どうやら”複製”で屋敷を創造するのに材料はいらなかったようだが、その代わりにMPを大量消費した。
大抵のことはMPで大体できるのは便利で助かる。
それから6つの屋敷を”複製”し、もはや高級住宅街のような構えになった。
「すごいすごいすごい!!ダグラス様って本当にすごいのね!!!」
「ありがとうリリス。」
「っ!!ダグラス様、来客です。」
「…ああ。」
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