第42話 商会

翌日、俺は朝食を終えてすぐに商会に向かった。




「いらっしゃいませ。ダグラス様で間違いないでしょうか?」




「はい。」




「では、奥の部屋へ案内します。」




奥の部屋に行くと、商会の各部門の取締役が集まっていた。




「おはようございますダグラス殿。また装備を買いますか?」




「おはようございますニックさん。はい。見させてもらえますか?」




「もちろんです。ではついてきてください。」




ついていくと、部屋に着いた。




「ごゆっくりどうぞ。」




そこはAランク以上の装備しかない部屋だった。


Sランク装備も複数個あった。


しかし、どれもこれといってずば抜けた点がなかったのでやめた。




次に、不動産商会を見た。


最近奴隷の数が多くなって残りの部屋数が減ってきているのだ。




寮のように部屋数が多い家を探したのだが、屋敷しかなくどれも高いのでやめた。




その後も見て回ったのだが、しっくりくるところがなかった。




「あ、ダグラス!!うちも商会に提携してるから見に来てよ!!」




悩んでいると、メリルに声をかけられた。




「じゃあお言葉に甘えてそうしようかな。」




そういえばメリル魔道具店の商品は指名依頼の片づけの時に”鑑定”したが、どれも便利なものばかりだった気がする。




メリル魔道具店に着き、俺はじっくりと商品を見て回った。




「なあメリル、前一緒に王都に来た時に使ってた結界の魔道具はあるか?」




「あるよ!!ちょっと待っててね!」




メリルは結界の魔道具をたくさん持ってきた。




「実はこれ便利だから売れると思ってたくさん作ったんだけど、あんまり売れなかったんだよね…」




「そうなのか…これは1個いくらだ?」




「うーん…売れ残りだし原価金貨75枚だけど金貨60枚でいいよ!!」




「じゃあ10個買おうかな!」




「毎度!!」




俺はみんなのパーティー分5個とそれぞれの予備を購入した。


これでもまだ金貨377枚分残っている。




「メリルのおすすめの魔道具はあるか?」




「あるよ!!半径50m内のパーティーの位置がわかるやつ!!」




「おお…便利そうだな。1個いくらだ?」




「金貨10枚だよ!!」




「何個ある?」




「ちょっと待ってね。えーっと…50個だよ!!」




「じゃあ38個買ってもいいかな?」




「もちろん!!」




俺は不足分の金貨3枚を払って購入した。


俺、奴隷冒険者25人、メイド5人、会計2人、予備分5個だ。




まさか金貨977枚すべてメリル魔道具店で消費するとは思わなかった。




「良い買い物ができたよ!!ありがとうメリル!!!」




「こちらこそいっぱい買ってくれてありがとう!!もうお得意様だね??」




「ああ、そうだな。これからもよろしく!」




「こちらこそよろしくね!!」




気が付けば昼を回っていたので一度屋敷に帰った。


昼食を終え、俺はみんなに買った魔道具を配った。




「なあダグラス、本当にこんな高価なものもらっていいのか?」




「気にするなマーク。お前たちに死んでほしくないからな。」




「ありがとうございますダグラス様…でもこんな…恐れ多いです…」




「ソフィアもそんなに気にするな。お前たちを失うのが嫌なんだ。それとも俺のプレゼントを受け取れないのか?」




「い、いえ、滅相もない!!有難く頂戴します!!」




「ならよし!!」




「マスター意地悪だなー!」




「違うぞクレア!!受け取ってほしかったんだ!!」




「分かってるよ!!マスターは面白いな!」




皆は俺にとって家族のようなもの、いや家族といっても過言ではない。


何かあったときに俺がすぐ駆け付けられるよう、全員分のデータを登録しておいた。




昼食を終え、俺は再び商会に赴いた。


以前リバーシを売り込んだエリオットさんから呼び出しを受けていたのだ。




「いらっしゃいませダグラス様。奥へどうぞ。」




奥の部屋に入ると、エリオットさんが不気味なほど満面の笑みで待っていた。




「こ、こんにちはエリオットさん。」




「こんにちはダグラス様。リバーシはもう売れに売れて…このペースだとすぐに元手を取れそうです!!」




「それはよかったです。お互いウィンウィンですね!!」




「ええ!!ところで、他にも娯楽商品は開発していますか?」




「設計図だけなら何個か…」




「本当ですか!?それっていただけますでしょうか…?」




「すみません。今はまだその時じゃないと思うのでまた今度。」




「そうですか…分かりました!」




「ところでリバーシの販売は具体的にどうなってますか?」




「そうですねぇ…」




まとめると、


1.平民用と貴族用で作り分け、一般用は1個銀貨1枚、貴族用は1個金貨10枚で販売している


2.王都を中心に世界中に広がっており、娯楽商会支店が新たにできた


3.全体の利益は1ヶ月で金貨10300枚程度なので、俺の利益は金貨6180枚ほど




といった感じだ。




まさかこんなに売れているとは思わなかった。


一般用が10万個、貴族用が30個売れたようだ。




王都の人口が50万人なので5人に1人が買っている計算だ。




「確かに最近街でリバーシの話題をチラチラ聞くようになったなぁ…」




酒場での賭け事勝負にも使われているらしい。


今までは喧嘩か腕相撲だったので、平和になってくれてよかった。




「ありがとうございます。俺の利益の受け取りは毎月の初日でいいですか?」




「ええ。今日のように現金でも、現金相当の商会の商品でもどちらでもいいですよ。」




「分かりました。これからもよろしくお願いします。」




「こちらこそ商会を今後ともごひいきに。」




売り上げが減少し、人々が飽き始めたところで次の娯楽を売って大儲けしようと思う。




今から想像される莫大な利益に自然とにやけてしまうものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る