第143話 笑う救世主

鼻毛を抜いていた。

と、そのうちの1本が抜けない。毛抜きで引っ張るままにずるずると出てくる。

毛抜きではもどかしい。両手を使いどんどん引きずり出す。ずるずるずるずる。いくらでも出てくる。1m、2m……何メートルになったか、おもしろいように出てきた鼻毛が途端に引っかかってもう出てこない。といって抜くことも出来ない。引っ張ると痛いだけ。鼻がもげそうだ。

どうしよう。


途方に暮れているところへ家の者が帰ってきた。鼻毛にからまったわたしを見てゲラゲラ大笑い。

「ハサミで切ればいいんじゃない?」


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