第118話 音のみ

目覚まし時計の音で目が覚めた。が目覚ましなんてセットしてない。っていうか、そもそも目覚まし時計がない。いったい何が鳴っているのだかわからない。けれど、これはまぎれもなく目覚まし時計の音。


音を止めたくても鳴っている時計が無いのだから止めようがない。とはいえ、こういうものは1分もすれば鳴り止むものだ。放っておけばいいのだ、こんなもの。

が、もう1分はたっただろうに鳴りつづけている。鳴り止む設定が5分くらいなのだろうか。5分たったが駄目。まだ鳴りつづけている。


止めたいけれど止めようがないのだから仕方がない。うるさいけれど放っておくしかない。

と、気がつけば静かになっていた。30分はたっていたか。どうやらアナログ時計らしい。時計の針がかなり動かないと鳴り止まない。


明日からどうしたものか、と思っていたがありもしない目覚まし時計が鳴ったのは結局その日だけだった。


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