第63話 移動

さあ、乗って、と言われて乗ったのはトラックの荷台。見知らぬ人たちが大勢乗っている。ときどき止まっては人が乗り込んでくる。トラックで運ばれ降ろされ、次は貨物列車に移され運ばれつづける。どこへ向かっているのか判らない。

トラックに乗り換え、港で船に乗り換えた。どこまでも運ばれつづける。


次の港でまたトラック。何度乗り換えただろう。何日経ったのかも判らない。ただただ運ばれつづける。

途中、逃げた人もいる。逃げてもいいんだ、と思ったけれどどこへ逃げたらいいのかもわからないから、ともかく運ばれるままにされた。


ある所から次から次へと人が降ろされるようになった。そしてわたしも降ろされた。それはわたしが乗り込んだ場所。

トラックが走り去るのをわたしはただじっといつまでも見つづけた。


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