第40話 見えない対局者
名人戦の棋譜を途中まで並べてそのままにしてあった。気がつけば名人戦とは違う進行で何手か進んでいる。家人で碁を打つのは父だけだが父はもう居ない。誰も碁石に触っていないのにどうしたわけだろう。
毎日数手進む。地に辛い打ち方は父を思わせる。こんなところでコスんでいては遅いだろうとケイマに打ち直したら石が弾け飛んだ。どうやらお気に召さないらしい。手を出すのはやめて観戦するにとどめておく。
手が止まり数日経った。はじめは長考だと思ったのだけれど、この奇妙な現象が終わったのかもしれない。どっちだかわからない。
まだ終局していないのでどうしたものかと放置したままである。
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