第13話 見知らぬ人

「聞いてるの?」

うん、と返事はしたがもちろん聞いてなんぞいない。手にしたコーヒーカップを覗き込む。いつの間にミルクを入れたのだろう。砂糖も入れたのかしら。

「前にも言ったけど……」

といわれても何のことだか記憶にない。そもそも目の前で怒鳴っている、この女は誰だ? 叱りつけるのは当然の権利だと言わんばかりの態度をとるこの女は。


見知らぬ女の口はいつまでも動きつづけている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る