第80話 鬼狩り!2

 周りに集まって、静かに聴いていた皆…。テルの話で、事情は理解した。

 が、まだ環奈が捕らわれたままで放置されているのだ。早く助けたいと、杏奈・沙織・えみが、特にソワソワして落ち着かない。


「よ~し、環奈ちゃんも放って置けないから~、つき、お願い!」


 恵美は、自分の子を指名した。

 しかし、指名されたつきは何のことか分からず、首を傾げる。


「ん? 金縛り解除よ~! 鬼ちゃんの金縛りを解除してやって~」


 と、具体的に言われて、やっと理解はしたが…。


「え? 私、出来ないよ。あんなの!」


との回答…。


「あ、あれ~? じゃあ、うたは~?」


 ならばと、続けて恵美は、近くにいた杏奈の子を指名…。


「無理、無理! あんなの出来るの、さとちゃんだけ!」


 うたも、ブンブンと首を横に振った。


「そうなの~? じゃあ、さと、お願い~」


 暗がりにまぎれるようにしていたさとに依頼するも…。


「嫌だ~! 母様だからやったのよ。なんで私が、鬼とキスしなければならないの!」


 さとは、あいを盾にしてサッと身を隠した。


「こら、さと。 そんなこと言わずに、やってやれよ。一生あのままでは可哀想であろうが」


 母親の祥子も、さとに促す。…が、


「嫌なものは嫌! ぜ~ったい、イヤ!」


 さとは、そっぽを向いてしまった。


 彼女は、けっこう頑固がんこ者だ。こうなると、意地になって言うことを聞かない。

 困って、慎也がさとの頭をでた。


さとちゃん。お願いだよ。君しか出来ないんだから…」


 さとうつむいてしまう。そして小声で言った。


「キスは嫌だもん…。でも、動けるようにすればいいんでしょう?」


「他にも、方法あるのかい?」


「たぶん、出来る!」


「じゃあ、それでお願い」


 さとは慎也に向かって頷いて、ふところに手を突っ込んだ。

 そして、やおら、あやしい物を取り出す。


 皆、それを見て、ギョッとした。


 …張形はりがた

 つまり、男根の作り物…。白いシリコン樹脂製。それも、かなり大き目。


「ななな、何でそんなもの!」


 月光だけの暗い中、間近で愛娘まなむすめから見せつけられたものに、一番驚いたのは慎也だった。

 が、やはり、他の皆も一様に引いている。


「昨日、恵美母様からもらったの」


 さらっと出てきたさとの言葉で、白い視線が恵美に集中する。


「あ、い、いや~。だって、この子たち、鬼の嫁になる運命らしかったし~、性生活についても教えておかないと、やっぱ駄目でしょう~。

 それの教材として使った後、欲しそうにしてたから上げたんだけど~」


「あ、あんたという人は~!」


 沙織が、ツカツカと恵美の前に歩み寄った。今にも引っぱたきそうな雰囲気である。


「沙織、落ち着いて! 別に、入れてはいないわよ。彼女たちは、まだバージン!

 こんな形で、こんな大きさのものが入れられるって、分かってた方が良いでしょ!」


「あ~、もういい! 口に出すな。恥ずかしい!」


 沙織は怒鳴って、そっぽを向いた。


「ま、まあ、とりあえずだね、その件については、また後で恵美さんに詳しく釈明を受けるとして、さとちゃん、まさか、それで何とかするということなのかな…」


「そうですよ!」


 困り顔の慎也に、しれっと言って、さとはアマの横に移動した。

 そして、四つん這いのままで動けなくなっているアマの袴の紐をサッと解いた。

 袴をずり下げ、着物をまくる。


 暗い中であるし、慎也たちはアマの正面方向に居るため、アマの大事なところは、見えない。白い尻が少しと綺麗な太ももが見えるだけ。

 だが、当然、本人は羞恥しゅうちで真っ赤になっていた。


「な、な、な、なんたる恥辱ちじょく~!」


 さとは構わず、張形をペロペロとめて湿らせる。

 月に照らされた美少女の、信じられない淫靡な行動…。


「いくよ!」


 さとは構えた。

 そして、アマの背後から、一気に突き刺した!


「ぎょおおええ~!! ぬ、ぬおおおお~!!」


 アマの物凄い大絶叫が、暗闇に木霊こだました!

 同時に、大あわての恵美…。


「ちょおっと、さとちゃん! 教えたでしょ!

 いきなり突っ込んじゃダメ。ゆっくり、愛液出させて、やさしく入れないと!

 それに、この人、処女だったんじゃ…」


「め、恵美、あんた、そんなことまで教えてたの…」


 沙織は完全にあきれ顔。

 舞衣や祥子、杏奈は苦笑していた。


「あ、あれ? ちょ、ちょっと、さと!」


 あまりにアマが痛がるのを不審に思い、挿入部をのぞき込んで確認した恵美は、さらに慌てた。


「そ、その穴、違う!」


 祥子、舞衣、杏奈も、どういう事かと確認しに行き、挿入部を見て固まった。


 さとが張形を突っ込んでいたのは、女の秘穴ではなかったのだ。

 排泄の為の穴…。肛門だ…。


「だって、キスの代わりだから、口とつながっている、こっちでしょ!」


 斜め後ろから見ていたテルは、大きく口を開けたまま、完全にフリーズしていた。

 慎也は…。流石さすがに確認にはゆけなかったが、さとの言葉で、どこに入れたか理解した。


「なに? 違うの? いいでしょ、こっちでも。

 だって、恵美母様言ってたじゃない。こっちでするセックスもあるって。

 父様と舞衣母様の最初のセックスも、こっちだったんでしょ!」


「!」


 予想もしていなかったこの言葉に、今度は舞衣と慎也が硬直した。

 慎也と舞衣の最初の交合…。仙界での選択の儀式のことだ。


 舞衣は、ゆっくりと顔を動かし、恵美を見た。

 そして、キッとにらみつける。


「なんてことを子供に……。

 というか、そもそも、なんで、あんたが知っているの…」


 舞衣は、眉をピクピク動かしながら、ゆっくりと視線を沙織に移動させた。


「沙織さんには、話しましたっけ……」


「ち、ち、ち、違いますよ! わ、私は、誰にも話してませんから!」


 沙織は慌てて右手を振って否定した。


 続いて舞衣は、視線を祥子に流した。


「他で知っているのは……」


「あ、その、何じゃ。恵美がじゃな、根掘り葉掘り聞いてくるからじゃな。そ、その、何じゃ……」


 しどろもどろになっている祥子を、舞衣はすごい形相でにらみつけた。

 …が、それをさえぎる弱々しい声がする。


「す、すまぬ~。いい加減、何とかしてもらえぬか。こ、これはあまりにむごいのだが……」


 アマの情けない声に、皆、アマが、そのままになっていたことに気が付いた。


「我慢しなさいよ! これは、罰なんです」


 さとはそう言いながらも、目をつむって集中し、張形へ気を送り込みながら、さらに奥へ突っ込んだ。


「ぎょおおえええ~!!」


 再び品の良くない叫び声をあげ、アマは前に突っ伏した。

 同時に、お尻から張形がスポンと抜ける。


 さとは、自分の手にある、抜けた張形を眺めた。

 …何かついている。


 …臭いを嗅いだ。


「くさっ!」


 顔をしかめて、張形をポイッと投げ捨てたさと

 アマは涙を流しながらにらみ、敵を威嚇いかくする猫の様に唸り声をあげている。…が、相手が神子かんこでは手を出せない。


「このようなはずかしめを…。よくも、よくも、よくも~!」


 アマの金縛りは、無事、解けていた。

 が、アマは、あまりの痛みで、その場から動くことも出来ない状態となっていた。


 やむなく祥子が、涙を流しているアマの尻に手を当てて治療してやった。

 場所が場所だけに、慎也がするわけにゆかなかったので…。

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