第21話 巫女たちの決断

 夜、女子四人には、先ほどの建物の一階の二部屋が割り当てられた。


 一階全三部屋ある内の右隅の一部屋は、慎也が使っている。

慎也の隣は嫌だと言って中央の部屋を空け、結局四人は左隅の一部屋に集まっていた。

 そこのベッドは、四人で使うには小さ過ぎる。しかし、眠れそうもないから特に問題ない…。


 既に真っ暗で、何も見えない。互いの表情も、よく分からない。

 怖がって、双子は恵美にしがみついている。

実の姉ではなく、恵美に。

 …昼間の交合見学で、沙織に無理やり外へ出されたのにむくれているのだ。


 夕食もとっていないので、クークーお腹が鳴る。が、暗くて誰の音かも分からない…。


「ねえ、沙織~。私は帰りたいな~。

こんな何も無い、真っ暗なとこに、ず~っと居るの、嫌だよ~」


 恵美の語り掛けに、沙織は答えない。


「何も無いんだよ~。お腹すいたよ~。食べる物どうするの~?

病気になったら、そのまま死んじゃうよ~」


「で、でも、そのために、あんなことするなんて…。

中学生の妹たちまで、犯されるなんて……」


 鼻をすする音。沙織は、泣いているらしい。


「そうだよね~。初めて会った奴に~、バージン奪われるなんて嫌だしね~。

ましてや、妊娠なんてね~。

でもね~、アイドル二人も、しっかりヤッてたよ~」


「芸能人なんて、普段からヤリまくっているから平気なのよ!」


「お姉様、ひどい!」

「今のは、暴言です!」


 双子(=杏奈・環奈)がそろって抗議する。


「何が暴言よ! だってオカシイでしょ!

どう見ても嫌々じゃなくて、喜んでシテたわよ!

普段から、ヤリ慣れてるのよ!」


 さらにひどい発言を繰り返す姉を、暗闇の中、杏奈と環奈は四つの光る目でにらみつけた。


「信じられない言葉……。お姉様、最っ低!」

「他に帰る方法があるんですか? あるんなら、教えてくださいよ!」


「そ、そんなこと、私が知ってるはず無いでしょ……」


 当然、沙織に他の帰る方法など分かるはずもないし、そもそも、他の方法があるのかどうか…。沙織の矛先も鈍ってくる。


「私たちは、帰りたいんです。美月ちゃんは帰って行ったでしょ。

同じことすれば帰れるんです!」

「他の方法が分からないんなら、黙っていてください!

帰りたくないなら、お姉様一人で残れば良いでしょ!」


「なんてこと言うの! 私は、あなたたちのことを思って!」


「まあ、まあ、ダメよ~、喧嘩けんかしちゃ~。

沙織の気持ちは、分かるよ~。私にとっても、杏奈ちゃん環奈ちゃんは可愛い妹みたいなものだからね~。

でも、その可愛い妹を~、こんなところに置いておけないでしょう~」


「そうだけど!!」


「ねえ~。中学生犯すなんて犯罪よね~。淫行だよね~。

でもここ、警察無いよ~。逮捕もされないよ~。

女の敵のアイツを罰してもらうには~、まず帰らなきゃ、話になんないよ~。」


 少しの沈黙……。


「まず帰ろうよ~。

元の世界に帰って~、それから悪いアイツを逮捕してもらおうよ~。

帰った後、被害者の会を作ろっか~」


 沙織も、美月が消えるのを見て、交合するのが帰るための方法として間違いないことは理解している。

 理解はしているが、だからと言って、妊娠というのは受け入れ難いのだ。


 それにしても、恵美の言う「被害者の会」というのには、半分あきれた。

 向こうも、神隠しに遭ってここへ来たという。

無理に自分たちを強姦しようとしているのでは無いだろうに…。


 恵美は続ける。


「そうね~。そのために、何されたか~、しっかり証言できるように、監視しないとね~。

だって、可愛い妹たちに、何をされたか自分で証言させるの~?

だから~、私たちが、しっかり監視して~、代わりに証言できるようにしておかないとね~」


 沈黙……。もうスルことが決まってしまっているような発言だが…。


「そういうことで、良いかな~?」


 沈黙……。返事は無い。


「良いよね~、杏奈ちゃん、環奈ちゃん」


「「ハイ!」」


 二人のそろった返事。


「ハイ、多数決により、決定で~す」


「ちょ、ちょっと!!」


「対案出さない人の異議は、受け付けませ~ん!」 


 沙織は再び黙った。


 他に、どうしようもない…。

 無言をもって、消極的同意とせざるを得ない…。


 少し不安の残る協議が終了した。





 五月三日、朝。


 恵美が代表して、朝食準備中の祥子・舞衣・慎也のところへ来た。


「おっはようございます~。昨晩四人で話し合いました~」


「で、どうするのじゃ?」


「は~い。セックスしま~す。よっろしくお願いしま~す」


 相変わらず、あっけらかんとしたもので、さらに続ける。


「但し~、必ず四人一緒のセックスで~。

あ、一緒といっても~、そちらの彼氏のオチンコが一つしか無いのは分かってますからね~。

だから、昨日舞衣さんたちがしていたような感じで~、みんな見ている前でセックスして~、終わったら交代で~、次のセックス~って感じで~」


 可愛らしい顔と、ゆったり癒し系の話し方なのに、卑猥ひわいな言葉を躊躇ちゅうちょなく連発してくる。

 昨日も結局、最後まで部屋に残って、顔色も変えずに凝視していた。不可解な女の子である。


「え~、改めまして~。私は尾賀恵美おがめぐみと申しま~す。二十歳の大学生で~す。

あとの三人ですが~、もう一人、私と同年代なのが、山本沙織やまもとさおり~。大学の同期で~す。彼女は誕生日前なので~、十九歳。

あとは沙織の妹の双子で~、杏奈あんなちゃんと環奈かんなちゃん、中学三年生で~す」


「おう、ワラワは昨日名乗ったが、賀茂祥子かものしょうしじゃ。『祥子しょうこ様』と呼べ。歳も言ったな。隣は有名人のようだから知っておろう」


「高橋舞衣です」


「俺は川村慎也。二十五歳」


 舞衣は自分の年齢を言わなかった…二十四歳である…が、恵美が年齢を言ったので、慎也は自分の歳を付け加えた。


「よっろしく、お願いしま~す」


 恵美は、ぺこりと頭を下げた。

 そして、みんなそろって朝食をとることになり、走ってあとの三人を呼びに行った。



 朝食準備が完了する。

 恵美が双子の手を引いて来て、席に着かせた。沙織も少し遅れて続いた。


 双子は恥ずかしそうにモジモジしている。当然だ。この後のことを考えれば。

 一方、沙織は不機嫌丸出しだ。こちらも、当然…。

 恵美のポーカーフェイスが、妙に浮いている。



 朝食が終わり、舞衣と慎也は片付けをする。あの四人は祥子に連れられて温泉に行った。

 この後、舞衣と慎也は畑で収穫。そして、人数の増えた今日は、早めの交合開始という段取りだ。


 収穫を終えた慎也と舞衣は温泉に入り、先に入浴を済ませていた祥子と一緒に「交合の間」へ上がった。

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