第63話 遠隔バイブ

 ノルド邸に行くと警備の人が10人程いる。

 物々しい警戒ぶりだ。

 シャノンは無事に着けたようだ。


「停まれ。ここに何の用だ」

「ノルド老に会いに来た。ヒロが来たと伝えてくれ」

「分かった少し待て」


 しばらくして、ノルド老とシャノンとリンダが現れた。


「ヒロ先生にはお手数を掛けましたな」

「ありがとう、おかげで生き延びられそうだわ」

「ちょっと、シャノン姉に特別なお礼を要求したそうじゃないの。卑劣な男ね。私にその分をつけときなさい」

「まあ、いいけど」


「ここで立ち話もなんですから、奥でお茶でも飲みながらどうですかのう」


 4人でお茶会になった。


「リンダはシャノンと親しいのか?」

「ええ、昔からの友達ね」


「今回の事情は聞かせてもらえるのかな?」

「ヒロ先生には申し訳ないのじゃが、いろいろと複雑での」

「そうか、聞かない。これで護衛は終わったんだよな」


「まだよ。私をプロダクションまで届けてもらわないと」

「プロダクション?」


「馬鹿ね。そんな事も知らないの。物づくりを至高とする派閥よ」


 そうリンダが説明してくれた。

 プロダクションの支部までシャノンを届ける事になった。

 隠蔽魔法をFランクからEランクに引き上げた。


「何よ、二人分の隠蔽魔法を掛けれるんじゃない」

「おぶったのは、迅速に行動する為だ。シャノンが魔法を避けるのが得意なら、そんな事をしない。運動は得意じゃないだろう」

「ええ、その通りね。いえ、誤魔化されないわ。今はどうなのよ」


「街中で二度も襲ってくるとは考えられない」

「考えなしでないのなら、いいわ」


 プロダクション支部に着いた。

 そこは工房というか要塞だった。

 分厚い鉄の壁、窓などは一切無い。

 中に踏み入れると、部屋の中を魔道具の照明が、煌々と照らしている。


 天井にはダクトが走り、やはり魔道具の換気扇が付けられていた。


「いらっしゃい。プロダクションへようこそ。使いの者から事情は聴いたわ」


 中年のおばさんが迎えてくれた。


「お世話になります」

「今度こそ護衛は終わりだよな」

「ええ、ご苦労様」


「聞く所によるとあなたがランクエレクションとスピーカーのアイデアを考えたんだってね」

「それが何か」

「素晴らしい発想だわ」

「それはどうも」


「プロダクションに入らない?」

「それはお断りだ」

「何で? プロダクションは上下関係などほとんどないわ。居心地いいわよ」


「俺はエロ魔法道を極めたい」

「ランクエレクションの用途は知っているわ。ああいうのが作りたいって言うなら、作らせてあげる事も出来るけどね。そういうのじゃ無いって顔をしているわ」

「エロによる幸せを追求したいんだ。物づくりは副産物で目的じゃない」

「なるほどね。エロの探求ねぇ。男らしいと言えばらしいか。作りたい物があったら何時でも持って来な。どんな下らないものでも作ってあげる」

「依頼するかも知れない。その時はよろしく」


 ふう、一仕事終えた。

 癒しが欲しい。

 アイナー、俺を癒してくれ。


 学園に帰りアイナの部屋をノックする。


「なに、ヒロじゃない。2日もどこに行ってたの」

「アイナを二日も見ていないと禁断症状が出るんだ」

「また馬鹿な事を言って。エッチな事がしたいって顔に出ているわ。お願い一回忘れないでよ」


 マッサージ屋にアイナを連れ込んだ。

 久しぶりに堪能した。


「あなたのその才能他の事に活かせられないの」

「たとえばどんな」

「離れた所の物を振動させられるのなら、信号に使えないかな」

「おー、遠隔操作のバイブね。それはいいな」

「馬鹿。文章みたいな物を伝えるの」


「えー、遠隔操作バイブの方が楽しい」

「文章を伝えるのよ。分かった」


 両方作ろう。

 ええと離れた所に影響を及ぼすのは呪いだな。

 モンスターの皮やら素材を採る。

 それに藁人形魔法を掛ける。

 遠隔の皮を振動させる事ができるはずだ。

 問題は皮単体では生きてないって事だ。

 呪いは魔力に作用する物が多い。

 って事は皮に魔力を持たせられたら、生きている事と同じ感じに出来ないだろうか。


 できるな。

 消去関連の魔法陣はある。

 その効果を反転させればいい。


 やって見たが駄目だった。

 そこで魔石の粉だ。

 皮のモンスターが持っていた魔石を粉にして、染料に使い皮を染める。


 その皮で太鼓を作った。

 送信機側も太鼓にする。

 皮を採ったモンスターの毛を入れて藁人形魔法を掛ける。

 送信機側の太鼓を叩くと受信機側が鳴る。

 完成だ。


 バイブは皮じゃなくて骨で作れば良い。

 送信機側の骨に振動刃を掛けると受信機側の骨が震える。


 さっそくアイナで実験だ。

 ビキニアーマーを作りバイブを仕込む。

 アイナにエステするからと言って着てもらった。


「あうん。ヒロ、エロ魔法を使ったわね」

「そよ風は服ぐらいは浸透するけど鎧は浸透しない。知っているだろう」

「隙間からやったに違いないわ。はんっ。それを止めて」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


 いやー、遠隔バイブ大成功。

 トニアに売り込もう。


「ヒー、ロー。頼み事2回分だからね」

「ああ、分かったよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る