第58話 エロな考えは集中を生む

「やだ、ぬるっとしてる。これ何」


 アイナが眠りから覚めた。


「でんぷんローション。三万回は試行錯誤したかな。満足のいく物が出来たから、アイナに塗ってみた」

「何て事すんのよ」

「全裸ではなく、下着姿にして塗ってるだろ。俺の優しさに感謝して欲しいな」

「この馬鹿ちんがぁ、氷の槌アイスハンマー


「ちょっと待て、美容に良い物出すから機嫌直せよ」

「何っ、早く言いなさい」

「石鹸水」


「そんなの店に売っているでしょ」

「じゃ砂糖水」

「甘味は高いけど砂糖を水に溶かしただけじゃ駄目ね。大人しくアイスハンマーの錆になりなさい」


 その時ノックの音がした。


「駄目、開けたら駄目よ。下着姿でぬるぬるした物を塗った姿を見られたら、どんな噂が立つか」

「今、取り込み中だ。急用でなければ出直してほしい」


 俺はドア越しにそう声を掛けた。


「お爺様が大変なの。早く来て。手間取ったら承知しないんだから」


 この声はリンダだな。


「分かったすぐ行くよ」


 アイナの怒りは収まったようだ。

 俺はノルド老の邸宅に急いだ。


 ノルド老のもとに行くとノルド老はベッドに横たわり苦し気だった。


「何の病気なんだ」

「水晶病。指先から透明になっていく病気なの」

「呪いではないんだな」


「ええ」


 一応確認してみた。

 魔力の流れが悪くなっているようだが、魔傷や呪いの類は確認できなかった。

 ノルド老の魔力の流れを太くしてやる。


「先生、楽になりましたぞ」

「一時的な物だ。治す方法はないのか」

「あるわ。特効薬があるの。でもミレニアムフラワーが必要で手に入らないのよ」

「そんなの訳ないぜ」


「いい加減な事を言ったらただじゃ済まさない」

「これっ、ヒロ先生になんて事を」


「じゃあ、どこに生えているか地図を書きなさい」

「秘儀を使って花を咲かすんだ。生えている所はこれから探す」

「また嘘を。お金が目当てなんでしょ」

「いや、お金は要らないな」


「ヒロ先生、どのような報酬をお望みで」

「報酬は要らないさ。友達だろう」

「わしみたいな者を友達と仰ってくださるのか。ありがたい事だ」

「すぐ戻る」


「早く探しに行きなさいよ。もし、ミレニアムフラワーを手に入れて戻ったら私から褒美を出すわ」

「それは気合が入るな」

「気を付けて。他の派閥の人間が妨害に現れるかも。味方であるはずのインフィニティですら少し怪しいわ」

「大丈夫だ。魔法戦なら自信がある」


 俺は辺境に飛んだ。

 森に行くと木の影に人が立っているのを魔力感知が捉えた。

 ふん、妨害の奴らか。


 どこかで撒きたい。

 草とエッチしている所を見られたら、いくらエロ魔法道と言えども恥ずかしい。

 しばらく様子を見よう。


 森を進むと狼型のモンスターが現れた。

 こいつを利用するか。

 俺は秘孔魔法・金縛り拳でモンスターを動けなくした。


「動けなくしたのが分かるか。俺の軍門に下れば助けてやろう」

「わふん」

「そうか、従うか」


 モンスターの中の魔石をFランクからSランクに上げて、筋力の強化もしてやった。

 モンスターの金縛りを解く。


「わふん」

「よしよし、後を付けて来る奴を懲らしめてやれ」

「わん」


 しばらく歩くと後方から戦闘音が聞こえた。

 よし、妨害になったな。


 ミレニアムフラワーの葉の形は覚えているから、探してっと。

 パオーンを出して魔力の循環を行う。

 花が咲いた。

 摘み取って背負いに入れる。


 製薬を失敗した時も考えて5本採取した。


 帰りに戦闘があった場所に通りかかる。

 血痕と死骸が散乱していた。

 俺が強化したモンスターの死骸はない。

 魔石をSランクにしただけで、手練れに勝つとはな。


 モンスターを強化する時は気を付けよう。


 ノルド老のもとに戻るとリンダが迎えてくれた。


「うそっ、本当に採って来たの」

「嘘は言わないよ」

「早く薬を作らないと」

「レシピはあるのか」

「ええ、これよ」


「俺が調合してやるよ」

「あなた器用なのね」

「じゃ始めるぞ」


 調合は失敗せずに薬は出来上がった。


「助かったわ。褒美は何が良い?」

「じゃ、エッチな事を1回お願いする」

「この外道が。言うに事欠いて、許せないわ」


「エロが魔法の鍛錬になるんだ。訓練なんだよ。魔力の溜まりも良い」

「邪な考えは瞑想に迷いを生むのよ」


「エッチは食べる事と同じぐらい自然な事だ。邪ではない」

「丸め込むもうって言うのね。そうはいかないんだから」

「エッチ以外の褒美は要らない。金なら余ったミレニアムフラワーで十分だ」


「分かったわ。恩知らずになりたくないから、付き合ってあげる。ただし、条件があるわ。魔法武闘大会で優勝してほしい。一時とはいえ、私の恋人に相応しい所を示してね」

「お安い御用さ」


 エッチの褒美も確約したし。

 よし、魔法武闘大会を頑張るぞ。

 武闘大会は1週間後だ。


「ノルド老は回復に向かったの?」


 学園に帰るとアイナが迎えてくれた。


「特効薬を飲ませたから、もう大丈夫さ」

「そう良かった。ところで浮気したでしょ」

「な、何の事かな」

「浮気み……」


 不味い。

 リンダとの約束がばれる。

 俺はアイナの唇を唇でふさいだ。


 快感のキス発動。

 快感を送り込み一度失神させる。

 腰砕けになるアイナを支え、お姫様だっこ。


 マッサージ屋の寝台にアイナを送り込んだ。

 アイナにリンダとの約束の事を気取られないように誤魔化さないと。

 俺は寝ているアイナにエッチなエステをやり始めた。


「むーん、あっ、あー」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


「ちょっと疲れ気味だったから、眠らせてマッサージしたよ」

「なんかすっきりしたわ。何を話してたんだっけ」

「ノルド老の御加減がよくなったって話さ」

「そうだったわね」


 ふう、危ない。

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