第30話 ゼンラのオーラ

「ええと、ここでマッサージしてるって聞きました」


 ボーイッシュな女生徒が俺のやっているマッサージ屋に訪ねて来た。


「アイナ、お客さんだ」

「はーい」


 アイナが奥から出て来て応対し始めた。


「ではそこに横になって」


 俺は魔力感知で診察する。

 魔傷が酷い。

 一体なにをやったらこうなるんだ。


 俺はお触り魔法で秘孔を押して治してやった。

 治す箇所がありすぎて時間が掛かったが、その間にアイナが隅々までマッサージをするので問題はない。


「はい、お終い」

「ありがとう。軽くなった」


「ちょっと聞きたいんだが、何をやったらそこまで酷くなる。廃人の一歩手前だぞ」

「えっ、そんなに酷かったの。ていうかあなた私に触ってもいないでしょ」

「見れば分かる。何をやったんだ」


「ええと。怪しいポーション飲んでモンスター退治」

「モンスター退治は影響がないとして、問題は怪しいポーションだな」

「だって、余白は欲しいけど、魔力は使いたくないんだもん」


「パワーアップするポーションを飲んだのか」

「ええ、物凄く怪力になるポーションを飲んだよ」

「それだな。二度と飲むな」


「そんなだと思わなくて。でも効果があるから、これからも飲むと思う。ここにくれば、治してくれるんでしょ」


 そう言われると困るな。

 勝手にしろと言いたいが、女の子は救いたい。

 野郎はどうでもいいが。


 そうだ、良貨は悪貨を駆逐する。


「俺がアイナに秘術を掛けるから、怪力ポーションを飲んだ君と腕相撲してみないか」

「それをして何の得があるの」

「アイナが勝てば秘術の方が優れているって事だろ。ここにくればポーションより安い値段で施術してやるよ。もしアイナが負けたらマッサージを100回無料にしてやる」

「やる。得になるなら、断る道理もないから」


 場所を修練場に移して腕相撲対決とあいなった。

 ポーションを飲む女生徒。


「はあああっ、秘孔魔法・強化点穴」


 俺は指でアイナの秘孔を突いた。

 アイナの筋力が強化される。


「ヒロ、勝ったら何かご褒美が欲しいわ」


 アイナがおねだりした。


「マナ・ポーションでいいか」

「そんなんじゃなく。もっと素晴らしい物を考えてよ」

「よし、スペシャルエステをしてやる。綺麗になれるぞ」

「それいい。やる気が湧いてきたわ」


「準備出来たようね。始めましょ」


 鉄で出来た腕相撲の台を前に二人は睨み合った。

 何でこんな物があるかと言えば身体強化魔法の腕試しだ。

 殴り合う訳にもいかないからだな。


「では、組んで。レディゴー」


 勝負はアイナの圧勝だった。


「負けちゃった。怪力ポーションって案外凄くないのね。マッサージに負けるんだから」


 よし、目論見どうり。

 それから、ひっきりなしに魔傷の患者が現れた。


 身体強化魔法を使わなくても、数倍の効果が出る怪力ポーション。

 これが大流行し始めた。

 その副作用として魔傷が出来るが気にしている奴はいない。


「モーラ、怪力のポーションの話を知っているか」

「はい、そのポーションなら、かなり出回っているのですわ」


「それを服用し続けると廃人になる」

「大変です。警告しないといけません」


「国に報告してくれるか」

「はい、そのように取り計らいます」


 警告はしたし、後はお偉いさんに任せよう。

 幸いにして魔傷は時間が経つと消える事が分かっている。

 俺が治さなくても、服用しなければ問題はない。


「約束のエステをして頂戴」

「わたくしにもお願い致します」


「モーラは関係ないが、ばっちこい。さあ、寝台に寝て」


 水着姿の二人を寝台に寝せた。


「色々と触るけど良いよな」

「ちょっと、エッチな事するつもり」


「仕方ないだろ触らないと出来ないんだから」

「仕方ありませんわ。美の為ですわ」

「モーラがそう言うなら」


 さて、これからやるのは魔力の細かい流れを把握してそれを刺激。

 老廃物を排除しようという訳だ。

 実はお触り魔法でも出来る。

 直に触るのはご褒美だな。


 毛細血管の様な魔力を刺激。

 しばらく様子を見る。


「ぽかぽかしてきた」

「そうですわね。気持ちいいです」


 このまま置いておけば完了だが、エロの血が騒ぐ。

 肌の快感が敏感になるようアイナの魔力の秘孔を突く。


 俺は滑らせるように素肌に指を走らせた。

 快楽結界を発動。


「ちょっと、エロセンサーが反応してる。ああっ」


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


「エステに関係ないマッサージしたでしょ。素直に吐きなさいよ」

「なんの事かな。なんかあられもない声を上げてたけど」

「素肌をさわさわ触られると変な気持ちになるのよ。って何を言わせるの」

「わたくしは普通でしたわ」


「まあ、いいわ。それより、べとべととして気持ち悪い」

「そうですわね。汚れが一気に落ちた気分です」


「拭いてやろうか」

「自分で出来るわよ」

「手が届かない所は、互いに拭き合いませんか」

「ほら、モーラもそう言っているから、部屋から出て行って」


 俺は部屋を出て隠蔽魔法を自分に掛けた。

 覗くぞ。


 まず関門はドアの音だ。

 蝶番に油を注して、ゆっくりと開ける。

 しめしめ、ドアには背を向けている。


 抜き足差し足、ゆっくりとドアを閉める。

 正面から観察したいな。

 二人の正面に回る。

 美しい。

 光り輝く裸にオーラが見える。

 エステの効果で何時もの何割増しにもエロい。

 幻影魔法と実物では雲泥の差がある。


「むっ、ヒロの気配。氷の槌アイスハンマー

「ぶべらっ」


「やっぱり覗きに来たわね」

風の鞭エアウィップですわ」


「あばばば」


 俺は風の鞭で滅多打ちにされた。

 我が魔法人生に1マナの悔いなし。

 くそう、裸に気をとられて集中を乱された。

 でなければ解除拳が間に合ったはずだ。

 色々と修行が足りんな。

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