第17話 元カノ、どうする?(ルディー&ティアナ)

「いっらっしゃい——って、え」


「こんにちは店主さん」


「こんにちは」


 聖騎士であるルディーとティアナの登場に宝石店にいる客が騒めく。


「えーと……」


「そんなに怯えなくても、別に抜き打ち検査とかじゃないのでご安心を」


「マーシャ・クラリエという女性はいますか?」


「そ、その方なら……」


 チラッと店主は宝石を見ている1人の女性に視線を送る。


 全身に豪華な装飾をした派手目の化粧の女。


 ……こんな女がユベルの彼女だったなんて。


 そんな事を思いながら、マーシャに近づく。


「マーシャ・クラリエさん。我々と一緒に来てもらってよろしいでしょうか」


「はぁ? 意味わかんないけど。アタシ、何もしてないわよ」


「店内で騒がれるのは迷惑なので、まずは店の外に出ましょう」


「ちょっとなんなのよいきなりッ!」


 ルディーがマーシャの腕を掴む。

 振りほどこうとするも、聖騎士と一般人で力の差は歴然。


 マーシャはギャーギャーと騒ぎ立てる。


「——静かに」


 ティアナが後ろ手に持っていたハンカチでマーシャの口を塞ぐ。

 

 騒がしかったマーシャが大人しくなり、次第に眠った。


「では皆さん、お騒がせしました」




「っ、っ……!!」


 宝石店から遠く離れた小屋。


 マーシャは目覚めた。


 そして、自分が四肢を鎖で捕縛されていたことに気づく。


「あ、お目覚めになりましたか」


「ア、アンタたちっ! こんなことしてタダで済むの思ってんのッ! 服装から聖騎士なんでしょ!」


「はい。聖騎士ですよ」


「人を守る立場の聖騎士がこんな事してるなんてバレたらどんでもないわよ!」


 マーシャの言葉にルディーとティアナは顔を見合わせる。


「聖騎士がいつから『人を守る』と錯覚していたんですか?」


「えっ……」


 ティアナの淡々とした言葉に、返す言葉が思いつかないマーシャ。


 ティアナは続ける。


「いつから聖騎士がそんなに便利な道具になったのですか?」


「悪を捌くのが聖騎士の仕事。その悪は当然、人間の中にも潜んでいる。——アナタの中にも、ねぇ」


 ルディーは鞘から剣を抜き、マーシャの喉に刃を突きつけた。

 

 皮膚の表面からツゥーと血が垂れる。


「顔から下だけは美人にする?」


「そうですね。ただ、すぐにへばっちゃうのは嫌なので、しっくりと……やりましょうか」


 微笑むルディーとティアナ。

 だが、その瞳は決して笑ってはいない。


「あ、ああ……ああ……」


 マーシャは自分が今から何をされるか、あらゆることを想像。


 もはや、何故自分がこんな目に遭っていることも聞かないほどの危機感。


 頭の中がパニックになり、白目を剥かせて気絶した。


「あら、気絶してしまったわ」


「根性がない女ですね」


「さて、どうする?」


「どうしましょう」


「それじゃあ——」

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