第13話 変態野郎は爆ぜろ② (シーラ&レイネ)

 アジトは北に進んだところにあることが判明。

 森林を探索途中、目的の洞窟を見つけ、暗がりの中を火を灯しながら進む。


 第3騎士団の最後列を歩くシーラとレイネ。


「シーラ先輩、ワンコ先輩は本当にここにいると思います?」


「どうだろう。制服も剣もないとなると……相当危険かも」


 聖騎士団の制服はダメージを軽減してくれるという特別仕様。

 身を守る制服や剣もなけば相当危険。

 

「まぁユベル先輩ですからなんとかしそうですね」


「そうだね」


 そんな時、ドスン、ドスンと何かが近づく足音。

 徐々にそれが見えてきた。


 人型のシルエットをしているのだが、その姿は人のそれではない。

 全身が薄い茶色の毛皮で覆われ、頭頂部に三角形の耳がピンと2つ立っている。 

 

 ――オークだ。


「な、なんでこんなところにオークがッ!?」


 一斉に剣を抜き構える騎士たち。


 オークは人間の骨を砕く力がある。

 腕を千切るぐらい容易いこと。


「あ゛あ゛あ゛あ———ッ!?」


 騎士の1人の腕がバギッと折られた。

 次々折り、腕はあり得ない方向に。

 そして、ブチブチと引き抜く。

 オークは噴き出す血には目もくれず、千切れた腕をボリボリ、まるでお菓子でも食べるように噛み砕いた。


「助けてッ、助けてッ!!」


 涙目で助けを求める声。

 他の騎士が恐怖で固まる中、カルトが清らかな光を放つ剣を一振り。


「ブォォォ!?」


 焦げ腐った臭いが洞窟中に漂う。

 丸焦げになったオークがゆっくりと倒れた。


 カルトの神護は【雷帝プロヴィデンス


 雷を操ることができる。


「どうだい、僕の実力は」


「流石ですね」


「凄い凄ーい」


 適当な感想と苦笑いを返すシーラとレイネをどう捉えたのか、カルトが満面の笑みになる。


 それからしばらく歩いているうちに、広いところに出た。

 前を見ると、道が3つに分かれている。


 騎士たちの足がここで止まった。

 一瞬、休憩と思ったシーラとレイネだったが、騎士たちの異妙な雰囲気から、違うと察する。


「早くいきましょうよ」


「ちょっと休憩しようと思ってさ。みんなも疲れてるよね」

   

 カルトの問いに周りの騎士たちは縦に首を振る。

 

 下卑た視線と笑み。

 脳内で女を犯していそうといった方がしっくりくる。


 カルトとしては、ここでシーラとレイネを団員に襲わせ、快楽落ちにし、3団専用の性欲処理にしようという下衆な思惑があった。


 どうにかしてこの美しい騎士を自分のモノにしたい。


 そういう邪な感情のみの任務だと最初から察していたシーラとレイネだったが、あえて参加した。


 ここで倒せば、もう自分たちに近づかないだろう、と考えていたから。


「さすがの0団でも集団で攻撃すれば倒せるじゃないかなーと思ってねぇ」


 カルトと言葉に、周りの騎士たちがニヤニヤ口角を上げる。


 第3騎士団は女癖が悪いと聞く。

 今から強姦目的で、騎士同士で戦うことを考えると、少しだけ鳥肌が立つ。


 表情に警戒の色を浮かべたシーラとレイネを尻目にカルトの言葉は続く。


「僕は現団長のユベル・アスカルトが気に食わないんだよ。僕より容姿も実力も性格も劣っている。彼は0団の団長としての器がない。そして君たちみたいな美少女をはべらせる資格もない。2人だってそう思うだろう? 0団の団長は彼に相応しくない。本来は僕がなるものだと」


 ユベルの話題が出てきて、ピクッと反応するシーラとレイネ。


 カルトが我こそは団長に相応しいと言っていたが、そんなのはどうでもいい。


 はべらす? 

 ユベルははべらすどころか、好意を持っている自分たちに目もくれず外で女を作っていた。


 ふつふつと、浮気相手の男と元カノに対して怒りが込み上がる。


「もうみんな待ちきれないみたいだから——やろっか」


 カルトの言葉でまずは3人の騎士が襲いかかった——が。


 ドサドサドサ


 次々と地面に倒れていった。

 

 カチッとシーラが剣を鞘にしまう。


 可憐な姿からは想像もしなかったスピードと打撃力に、周囲の動きが止まった。


 シーラはすぐさま体勢を整え、カルトに向け刃を突く。


「くっ!」


 カルトはシーラの攻撃をなんとか凌ぎ、反撃に転じたが、ふわりと花びらが舞うように躱され、まともに攻撃することができなかった。


 そうするうちに今度はレイネが攻撃を繰り出す。


「ケルちゃん、やっちゃって!」


 黒い影が3つ。

 カルトの周りの騎士たちの腹を目掛けて突撃。

 攻撃を食らった騎士たちは空中でくの字になって、涎を吐き散らした。


「うわぁ……弱々のざこさごじゃないですかぁ」


 煽るようにクスクスと笑うレイネ。

 これはわざと。

 カルト以外を自分に引きつけるための罠。


「レイネちゃん。カルト団長の方は任せて」


「了解です。お気をつけて」


 シーラとレイネはそれぞれの相手に剣を構えた。




 一方、ユベルはランタンを購入し、先に洞窟に入っていたが、道に迷っているところだった。


「やっぱり1人じゃ無理だったか……」


 第3騎士団たちの方は探索や空間把握の神護を持つ騎士がいるので、道に迷うことなく、スムーズに進めるが、ユベルは手探りの状態。

 

「はぁ、これは神護で壁を破っていった方が早いだろ……」


 ため息混じりに石造でできた壁に手を置くと、ガコンと石の一つが奥に動いた。


「へ?」


 その瞬間、足元の地面が開く。

 下は地面ではなく、どこまでも真っ黒な空間。


「どわぁぁぁぁぁぁぁー!?!?」


 ユベルはそのまま真下に落ちたのだった。



〈あとがき〉


 ユベルくんどこ行くねんw

 さぁ、やっちゃえ(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆

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