聖騎士団の団長になりましたが、この度、彼女と別れましたので脱退したいと思います。

悠/陽南ゆうい

第1話 半年付き合っていた彼女と別れる

「アンタみたいな脳筋とずっと付き合えると思った?」


 ——顔がめちゃくちゃ好みだった。


 最初はそんな印象で付き合い始めた彼女。

 けれど一緒にいる内に徐々に惹かれ、それなりに順風満帆——のはずだった。


「な、何が言いたいんだ……?」


 本当は何を示しているか分かっていたが、聞き返す。


「はぁ……警備隊に所属してるのにそんなのも分からないの? まぁ最後だし、ハッキリ言ってやるわ。私、貴方と別れたいの」


「なっ……」


 別れたい。

 彼女にはそれなりに良い物を買ったりと、貢いでいたのに……。


「あっ、理由も言わないとね。お堅い警護隊に勤めている男より、そこそこ金持ちの冒険者の方がいいから。アンタ休みが少ないでしょ? それに比べて冒険者の彼はほぼ毎日休みみたいなモノ。だから今よりも散財できるじゃない、アハッハッ!」


「そんな……」


 金目当てで俺と付き合っていて、それに満足できず、もっと散財してくれる冒険を選んだってわけか……。


「じゃあね、脳筋さん。立派に警護おしごとできるといいでちゅねー、ププ」


 彼女は俺がプレゼントしたネックレス、ましては共通財産であった金を根こそぎ持って去ってしまった。


 と、彼女が駆け足で向かったところに話に出てきた冒険者の男らしき人が。


「あれが元カレ? 警備隊とか結構給料いいんじゃないの?」


「どうせショボい警備隊よ。プレゼントもそんな高価じゃなかったし。下っ端の雑用。下手したら食堂の配食係かも」


「プッハッハッ! そりゃ傑作モノだなっ。まぁこれからはあの配食係クンよりも楽しませてあげるよ」


「やった〜!」


 馬鹿にする2人の発言に拳を握りしめ、我慢する。


 俺が所属しているのは警備隊じゃない。

 王都直属の部隊、だ。

 騎士団には暗黙のルールがあり、不用意に市民や冒険者に騎士団に所属していることを明かしてはいけない。


 明かせば、騎士団に恨みを持つ者が本人以外にも、その親族や関係者に危害を加えかねない。


 騎士団は絶大な信頼がある裏で恨みを買いやすい職業なのだ。


「はぁ、騎士団って明かせばまだ引き止める口実くらいにはなったのかなぁ」


 仲睦まじく腕組み歩く2人の姿を見ながら呆然と立ち尽くす。


 ユベル・アスカルト。16歳。

 この度、半年付き合っていた彼女と別れました。


 

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