第64話 反撃
「これでも、食らえ―――――‼」
騎士の槍は
――オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛
「よし、武器が通用がするぞ―!」
続けと他の騎士も槍を突き刺していく。
あれほど強固だった鱗が、今は簡単に槍が突き刺さり、傷口からは青い体液が吹き出していた。
しかし――。
「うわぁああああああああああああ――――――――‼」
無数の槍が体内に突き刺さっても尚、一向に弱ることはない。
切り付けた傷口はすぐに塞がり、体液の流出も止まっていた。
「胴体をあれだけ攻撃してもまだ平気なんて……なんて回復力だ!」
アーリカは考え込む。
「全員、奴の口の中を狙え! 外から攻撃が通じないから体内から奴を叩きのめすのだ!」
「イエッサー‼」
一人の騎士が先頭を切って
「目の見えないお前なんか怖くないぜ!」
そして、口内に向かって槍を突き刺さそうとする。
「……なんだと⁉」
「わぁあああああああああああああああ…………」
そして、そのまま大きな口で飲み込んだ。
「おのれ――‼ 食らえ――――‼」
しかし、続く騎士たちの攻撃も回避し、長い首を振りかざし、騎士を突き返した。
「うわぁっ――――――――――‼」
「なんで、アイツは攻撃が分かるだろ? 目は潰したはずなのに……」
「きっと、熱だよ!」
「……熱?」
「
「そんな……」
それなら、この遠距離の弓で攻撃をと思うが、口を狙われている事に気付いたのか騎士が近づかない限り口を閉じたままの
「ねぇ、レイナ。私が囮になって近づくから、その弓でアイツの口を狙って!」
「そんなのジュエルが危険だよ!」
「どっちみち、このままだとこの隊は全滅してしまうわ! 唯一、遠距離で攻撃ができるレイナが頼みなの!」
「……分かった。でも、無茶はしないで!」
「分かってるわ!」
と言うとジュエルと数人の騎士で
それに気づいた
大きな口を広げ、ジュエルたちに食らい付く。
「今だ、レイナ!」
「たぁ―――‼」
――ビュ―――――――――ン
風を纏った一本の矢が途轍もない速さで飛んでいく。
そして、狙い通り
「いけ――――‼」
そのまま
「やった……⁉」
しかし、矢は直ぐに体外へと飛び抜け、十分なダメージを与えることはできていない。
「ダメだわ。もっとアイツの体内を貫かないと倒せない……」
それにはさっきよりももっと威力を……。
そして、風だけではない何か他の力を……。
矢の攻撃を受けながらもその間攻撃を止めない
「わぁあああああああああああああああああああああああああ―――――――――――――――‼」
護衛に付いた騎士が一人、一人、弾き飛ばされていく。
「……嘘っ……」
そして、最後にジュエルが標的となった。
「……体が動けない……」
「……ダメ……食われる……」
目の前に迫る大きな口と牙。
ここまでだとジュエルは死を予感した。
もう、ダメ……。
飲み込まれる……。
「たぁああああああああああああああああああああ―――‼」
隊長の声が聞こえた。
「ジュエル、逃げろ―――!」
アーリカが捨て身の突撃で、
「隊長……⁉」
「何してる、早く逃げろ……‼」
しかし、すぐにアーリカは薙ぎ放われ、大きく宙へ飛ばされる。
「隊長―――――――――――‼」
「ジュエル逃げて――――!」
レイナは再び弓を構える。
「やぁああああああああああああ――――――――――――‼」
――ビュ――――――――――――――ン
勢いよく矢を飛ばす。
もっと……。
もっと……強い風を……‼
レイナが放った矢はどんどん風を纏い勢いを増していく。
「貫け―――――――――――‼」
見事に、体内を突き抜けていく。
「えっ……⁉ 嘘っ……⁉」
しかし、長い尾の
あれだけの勢いの矢だったが……。
徐々に勢いが衰えていき、やがて体外へと突き抜けた矢。
肝心の
――オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛
大きな轟音を響かせる。
ダメだ……。
体全体を貫かなければ……。
すぐにまた回復されてしまう……。
「はぁはぁ……、きゃっ……⁉」
この間にも遠ざかっていたジュエルだったが――。
大きな轟音に驚き、その場に転倒してしまった。
そして、迫りくる
ジュエルを唾を飲み込み、死を覚悟する。
「ジュエル――――――――――――――――――‼」
お願い……。
誰か……。
エン……。
助けて―――――――――――――――――――。
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