第148話

【見てエイト、湖が見えてきた】


クイーンの言葉にエイトは下を見ると湖の上にクイーンの姿が映し出される。


「かっこいい…」


【ね!素敵だね!】


クイーンが同意すると


「違うよ…水に写ったクイーンがかっこいい…人の姿も可愛いけどドラゴンの姿も素敵だね」


【そ、そんな事!】


クイーンは動揺して尻尾をブンブンと振り回すと湖を叩きつける。


すると写っていた自分の姿が消えてしまった。


【どうした?】


ラネットがクイーンの乱れた気配に声をかけると


【な、なんでも無い!大丈夫だよ】


そのまま飛んでと頼むと


「ごめんね…なんか僕いけないこと言っちゃったかな?」


エイトがしゅんと項垂れると


【ち、違うのエイトは悪くないよ。私が動揺しちゃって…】


「ごめん…僕すぐ思ってること口にしちゃうから」


エイトの素直な気持ちにクイーンはムズムズするのを押さえられなかった。


あっという間に目的地に到着すると…


「なんかクイーン疲れてないか?大丈夫か?」


カズキがクイーンの頭を触ると


「えっ!大丈夫!僕達重かったのかなぁ…」


エイトが心配そうにクイーンに寄り添う。


「だ、大丈夫だよ…ちょっと気持ちの方で疲れただけだから…体力は平気」


クイーンが笑うと


「ここから走るから大変なら直ぐに言うんだぞ、それともおぶってやろうか?」


カズキが背中を見せると


「大丈夫、走れるよ」


クイーンが笑った。


カズキは心配そうにしながらラルクに話しかける。


「様子を見ながら行ってやってくれ」


「わかった」


ラルクは頷くと


「じゃあ俺が先頭で走るからな、最後尾はカズキが頼むぞ」


「わかった!遅れるやつはもれなくおぶってやる」


「うむ…そりゃいいな」


ラネットが頷くと


「ああ、大人は置いてくからな」


カズキの言葉にラネットはガックリとする。


「ラネットさん拠点についたらお礼に美味しいものまた作りますからね」


「本当か!よし!おいそこの男!早く行け!」


ラネットは待ちきれないとラルクを押し出した。


「わ、わかったよ!押すな!じゃあこの腹ぺこドラゴンがうるさいから行くぞーナナミとエイトとクイーンは疲れたらカズキとラネットにおんぶしてもらえよ」


「「はーい!」」


「わ、私は大丈夫よ、た、多分」


ナナミが答えると


「いつでも抱くから遠慮なく言えよ」


カズキが笑いかけると


「やぁだぁ~カズキったらこんな昼間っから大胆♡抱くとかストレート過ぎない?」


ダレンがからかうと


「ち、違うそういう意味じゃないからな!」


カズキが慌ててエイトとクイーンに言い訳するが…


「だっこするってことでしょ?」


二人にじっと見つめられ…カズキは変な汗をかきながら頷いた…

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