第23話
「じゃあ名前付けてあげないと…」
エイトは獣をじっと見つめる。
「じいちゃん、なんて名前にするの?」
「ん?名前か…そうだなぁ…」
カズキはチラッと黒狼を見ると
(お前、名はあるのか?)
『まだない…つけてもらう前に…襲われたから…』
(じゃあエイトにつけてもらうんだ)
「グルッ!」
『このガキにか!』
ピキッ…
(ガキじゃない…エイトだ…)
カズキが黒狼を睨むと…黒狼はサッと伏せをした。
「エイト、お前が名前をつけてやるんだきっとどんな名前でも喜ぶぞ~」
カズキは笑ってエイトの頭を撫でると
「僕でいいの?」
エイトが獣を見つめると仕方なさそうにふいっと横を向かれる…
そんな獣をエイトはじっと見つめた…黒狼もエイトの視線に負けて目を合わせると…
「ジャック…」
「ジャック?」
カズキが聞き返すとエイトは頷いて
「僕もじいちゃんとナナミにエイトって名前もらったの!だから一緒の数の名前だよ!」
エイトが嬉しそうにジャックを見つめる。
「ジャックって…11(じゅういち)か!」
「うん!じいちゃんが教えてくれたトランプの中のジャックだよ」
「さすがエイトだな!いい名前だ」
カズキが笑ってエイトを撫でると
(どうだ?ジャック)
ニヤッと笑って黒狼を見る。
『悪くない…』
カズキはニヤッと笑うと
「よし、エイトジャックにここの家を案内してやってくれ。そのまま顔を洗ってくるんだそしたら飯を食うぞ!」
「うん!ジャック行こう!」
エイトはジャックに笑いかけるとこっちだよ!と手招きする…
ジャックはしょうがなさそうにエイトの後を追った…
その様子をカズキは微笑まそうに眺めていた。
「ジャック、ここが手洗い場だよ!ジャックは水を出せないから水を出したかったら僕に言ってね!」
エイトは水を出すと桶にに入れてジャックの前に置いてやる。
ジャックはペロッと出された水を飲むと…
『美味い…』
水の美味しさに驚く…
「ふふ…美味しいよね!この水はじいちゃんが深く、深く井戸を掘って下の下層から水を引いてるんだって…僕はよく分からないけど…だから美味しいんだよ、じいちゃんは凄いでしょ!」
誇らしそうにカズキの 話をする。
『よく分からんがここの水は美味い。こいつに言えばいつでも飲めるって事だな』
ジャックは夢中で水を飲んだ。
「次はお風呂場だよ、汚れたらここで身体を洗うんだよ!今日の夜は一緒に入ろうね!僕がジャックの事洗ってあげるね」
エイトはジャックに抱きつくと
『こいつはすぐにくっ付くなぁ…俺が怖くないのか?嫌じゃ無いのか?』
ジャックは疑わしそうにエイトを見つめた…。
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