第14話 : 恋愛スキル上昇計画(間地視点)

 昨日は一次会だけで帰ったけど、栞菜ちゃんはあれから二次会に行ったんだろうな。

 ふふ、栞菜ちゃんと優治くんか。酒癖の悪さは・・・・彼がいれば安心よね。

 でもって、智鶴ちゃん。


 私は見たのよね、アイコンタクトだけで智鶴ちゃんと優治くんが会話してるの。

 あれは偶然じゃないわ。あそこまでになるには結構な付き合いがないと出来ないレベルのことよね。

 ということは・・・・あの二人は付き合ってる!で間違いないかな。


 でもって、栞菜ちゃんのあの態度。彼女って男性に全然なびかないのよね。なのに優治くんには自分から飲みに行こうなんて・・・・まあ、まだ恋愛感情の自覚はないかな。

 でも栞菜ちゃんは勿体ないな。あれだけの容姿と能力を持っているのに・・・・彼女はだと思っているから重症なのよね。


 自分磨き=ビジネススキルのアップという単純な図式で物事を考えているからダメなの。

 生きていくにはビジネス以外にも生活スキルや外見磨き、恋愛スキルも必要なのよね。

 三十路間際なのにそこがわかっていない。


 私が昔働いていた銀座のクラブだとママやお客さんからそういう生き方の機微も教えてもらった。それが会社という所は働く人は作れても生活できる人は作れてないわね。もちろん学校も同じ。日本の教育は根底で間違っているのかもね。


 まあいいわ。これから優治くんを使って栞菜ちゃんにその辺のスキルを教えてあげよう。

 何とかしなきゃいけないと思っていたけど、これまではどうしようもなかったのよね。きっかけが全然なかったから。これからは優治くんのお蔭で色々できそうだし。


 だとしたら、優治くんのことをもっと知らないと。

 そう思って、今日は無理矢理優治くんをデモに連れ出して、一緒に食事をしたの。

 01型の実績があるから私一人でも対応できたし、栞菜ちゃんや優治くん一人でも全然良かったけど、どうしても優治くんのことを知りたかった。


 優治くんが栞菜ちゃんをどう見ているか。

 彼の女性観について。

 短時間でもいくつかわかったことがある。


 優治くんは女性を裏切るような感じではないわ。つまり栞菜ちゃんには脈なし。

 根が優しいから誰もお酒の相手をしてくれない栞菜ちゃんの孤独を癒やしてあげてるのね。

 でも、それでこそ私の考えていることに条件が合う。


 『栞菜ちゃんの恋愛スキルを上げる』


 これこそが今の彼女には必要なこと。

 このままだとオトコを知らないまま、文字通りになってしまう。

 余計なお世話かも知れないけど、彼女みたいな人がそうなるなんて、それはそれは勿体ないじゃない。今の時代結婚や家庭を持つことが幸せとは限らないけど、栞菜ちゃんは本来はそういうタイプじゃないはずよ。


 上司と部下という一時の繋がりでも、あれほど何事にも一生懸命やっている彼女にはどうしても幸せになってほしいもの。


 優治くんと智鶴ちゃんが付き合っているのは良いとして、優治くんに栞菜ちゃんのになってもらうようにすればいいんだろうなぁ。

 優治くんはあの様子だと智鶴ちゃんを裏切らないし、智鶴ちゃんにはを伝えておけば大丈夫だろうし。栞菜ちゃんには・・・・二人について本当のことは言えないか。優治くんの代わりに栞菜ちゃんに相応しい誰かを紹介しようかな。昔の伝手はいくらでもあるしね。


 だとしたら善は急げね。まずは智鶴ちゃんに話を通して、それから栞菜ちゃんに取りかからないと。優治くんにも教えておいて・・・・・ふふ、教えない方が楽しめるかな。

 優治くんが寝取られそうになったら私が出て行けば良いんだし。


 明日の予定は・・・・みんな内勤か、怪しまれないようにやってみるかな。

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