第120話
今日も今日とて楽しい授業とつまらない授業を終えて、マルグリット様やナタリーさんと共に、放課後のお茶会という名の情報共有を始める。
「相変わらず、あの先生は主張が大きくて激しいからダメね」
「魔法使いだけで構成された精鋭部隊が桃を持ち帰ってきてから、さらにひどくなってるわよね」
「自分たちの主義主張を強く持つのはいいのですけど、それを他の者にまでに強要するのは…………」
「賢者様が言う様に、属性魔法への適性が高い事がそのまま強いという事ではなく、ただ単に凄いと言うだけですからね」
「ええ、そうね。私たちは幾つもの属性魔法を発動する事が出来るけど、完全に制御する事が出来るわけじゃないしね。そんな私たちが本当の戦場に立った時に、役に立つかは分からないし」
「それに属性魔法一発で魔物を倒せるなら、先生の言う魔法使い至上主義はもっと昔に大陸中を席巻しているわよ」
「そうですね。それこそ私の実家みたいな田舎にも、その考えが広まっているはずですしね」
クララが言った様に、魔法使いのみで構成された精鋭部隊が王都に帰還してから、先生の魔法使い至上主義の熱弁が酷くなっていっているわ。王族派の貴族たちの子息・子女たちは、各貴族家の昔からの伝統などの影響から、魔法使い至上主義の考えをする者が多い。
そして最近では、あのアホな男共の熱狂的なファンたちの中からも、本格的に魔法使い至上主義の思想に染まっている者が増えてきている。その者たちは、授業以外でも例の先生や同じ思想に染まった生徒たちと集まり、何やら色々と談義に花を咲かせているらしい。その談義の議題の中には、中々に過激なものもあるらしいのよね。
過激派が勢力を伸ばして大きな力を持つのは、一人の魔法使いとしても、公爵家の娘としても簡単に容認する事は出来ないわ。王城の中枢にまでその思想が広まっていくと、最悪王族派の貴族や魔法使いたちと、市民側の魔法使いや騎士たちとの戦争、内乱へと発展してしまうわ。
(そうなれば、周辺の同盟国以外の国の幾つかは、確実に軍事侵攻を仕掛けてくるでしょうでね。それに同盟国の連中も、自分たちの有利な条件での再同盟のために、援軍を出すのを送らせてくる可能性すらもあるわね。この件に関しては、後でお父様やお母様とも相談しないといけないわね)
学生たちの影響力や行動力を舐めてはいけない。かつての日本においても学生による運動が起こった様に、若かろうが強い団結力があれば、国を揺るがすような一大事を巻き起こす事が出来るのよ。
そして事が起こった時には、王も貴族も平民も関係ない。緊急時における生きるか死ぬかの時に、身分が役に立つ可能性は低い。それは、魔法が存在する世界であっても変わらないわ。だからこそ、事が起こってしまう前に何とか手を打っておかないとね。
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