第47話
「とりあえず、ウォルター君向けに魔道具を選び直しましょうか。さっき選んだ戦闘用魔道具は、魔道具初心者向けのものだったからね。ウォルター君があれらをベイルトン辺境伯領や魔境で使うと、一戦の間でも保てばいい方ね」
「王国最高峰と呼ばれるナターシャ魔道具店の魔道具ですよ?それも、一般的な魔道具じゃなくて戦闘用の魔道具ですよ?例え初心者様だとしても、たったの一戦でなんて……」
「まあ、普通はそう思うわよね。でも事実なのよ。私がウォルター君に初めて戦闘用魔道具を渡した時が、正にそうだったのよ。魔境で一体の魔物と戦闘になったんだけど、その一戦が終わる前に修復不可能なまでに壊れたわね」
「それは魔境の魔物が凄いのか、それともウォルターさんの方が凄いのか……」
「私としてはどっちも凄いって所ね。ナターシャの志を継ぎてきた私たち魔道具師も、これらの魔道具の性能や耐久性に自信を持っているわ。だから、そんな魔道具を簡単に壊してしまう魔物もウォルター君も、どっちも怪物だと私は思うわ。そんな訳だから、もっと高性能で高耐久の魔道具を選ぶ必要があるわ。今更聞くけど、予算の方は大丈夫よね?」
「はい、大丈夫です。これでも貴族の頂点でもある公爵家ですから。多少高価なものでも大丈夫です」
「了解よ。それじゃあ、お友達も呼んできましょうか。彼女たちも、私やイザベラの仲間なんでしょ?それから皆で店の奥に行きましょうか」
「分かりました。それじゃあ皆を連れてきますので、ここで待っててください」
「分かったわ」
カトリーナさんをこの場に残して、私はクララたちを呼びに向かったわ。幸いにも皆自分の目的である売り場に残っていてくれたので、短い時間で集合する事が出来た。そのまま全員でカトリーヌさんの元に移動して、カトリーヌさんとそれぞれ挨拶を交わす。
「私はカトリーヌ・マルソー。この店の店員で魔道具師をしているわ」
「私はクララ・ベルトーネです」
「私はマルグリット・ベルナールと申します」
「私はナタリー・コーベットです」
「男爵家の中でも裕福なベルトーネ家にコーベット家、それにベルナールっていったら公爵家じゃない。イザベルたちの集まりって、一体どういうものなの?」
「私たちは魔法学院の同級生なんですよ。マルグリット様とナタリーさんと友人になったのは最近ですけど、今では二人とも親友です」
「なる程、そう言う事だったのね。魔法学院には色々な子が王都に集まるものね。私も魔法学院でかけがえのない友人たちを得たわ。でも学院を卒業すると、中々会う事も出来ない友人もいるわ。イザベラたちもその出会いを大切にして、何時までも仲の良い友人でいなさいな」
「「「「はい」」」」
私たち四人は、カトリーヌさんの言葉に即答で返す。そして、全員で顔を見合わせる。クララもマルグリット様もナタリーさんも微笑んでいて、私たちの友情が何時までも続くものであると確信させてくれる、そんな優しい笑みをしているわ。その事にじんわりと心が温かくなり、私も自然と笑みがこぼれたわ。
「それじゃあ、店の奥に行きましょうか。店の奥にある魔道具なら、ウォルター君の力になってくれるものがあるはずだわ。それに、イザベラたちの力にもなってくれる魔道具もあるはずよ。じゃあ、私に着いてきてね」
私たちはカトリーナさんの先導の元、ナターシャ魔道具店の奥へと足を進めていったわ。カトリーヌさんの様子から考えるに、店の奥にある魔道具の数々は、魔道具師たちの自信作ばかりの様ね。どんな魔道具があるのか楽しみだわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます