第46話

 私はカトリーヌさんがウォルターさんと顔見知りだと驚き、カトリーヌさんも私とウォルターさんが顔見知りであると驚いた後、二人でウォルターさんについて色々と語り合い始めた。


「へぇ~、イザベラとウォルター君はそんな風に知り合ったのね」

「ええ、そうなんです。それにしても、カトリーヌさんとウォルターさんとの出会いに、そんな経緯があったなんて驚きです。普段にウォルターさんの感じからは、想像出来ないですね」

「まあそうでしょうね。普段のウォルター君は、優しくて気遣いの出来る良い子だもの。私もウォルター君と一緒に依頼を受けて、魔物との戦闘になった時に雰囲気がガラリと変わったから、別人になったのかと思ったほどだったもの」


 カトリーヌさんから聞いたウォルターさんの戦闘をする姿に、私は驚きを隠せなった。話を聞いた今でも、週末に会うウォルターさんのイメージとは結び付かない。あの合同訓練の時だって、カトリーヌさんの語る姿にはなっていなかった。もしかして、あの森に出て来た魔物や動物はそこまでの相手じゃなかったって事かしら。

 それならウォルターさんのご実家があるベイルトン辺境伯領や、その直ぐ近くにあるという魔境には、どれ程強力な魔物が生息しているのだろう?


「イザベラが何を考えているのか分かるわよ。ベイルトン辺境伯領や、魔境についての事でしょう?私も数回しか行った事がないけれど、あそこで遭遇する魔物たちは、他の場所で出会う魔物たちに比べたら雲泥うんでいの差よ。どいつもこいつも、強力で凶悪な力を持っている魔物ばかりだったわ」

「カトリーヌさんほどの魔法使いであってもですか?」

「そうよ。それに正直に言って、の魔法使いなんて辺境には沢山いたわ。私は短い期間の滞在だったけど、自分の未熟さや甘さ、どれだけ魔物が恐ろしいものであったのかを再認識したわ。でもそのお蔭で、まだまだ自分は強くなれると思ったんだけどね」

「私から見ると、カトリーヌさんも十分に怪物なんですけどね」

「そう言ってくれるのは嬉しいけど…………。そうね、イザベルやお友達も一度ベイルトン辺境伯領に行ってみたらいいんじゃない?」

「辺境伯領にですか?」

「ええ、そこにはの魔法使いたちがいるからね。イザベラやお友達にとっても勉強になると思うし、世界の広さを知るには丁度いい環境でもあるしね。それに今後の事を考えるなら、ウォルター君のご家族とも顔合わせをしておいた方がいいんじゃないの?」

「!?……確かにそうですね。その時にはご一緒にどうですか、カトリーヌさん」

「…………いいわ、一緒に行きましょうか。じゃあその時の為にも、ご家族用の魔道具も選んじゃいましょうか。それに相手がウォルター君と分かったなら、魔道具の方も少し選び直したいしね」

「分かりました。今度とも末永いお付き合いをお願いしますね、カトリーヌさん」

「ええ、こちらこそよろしくね、イザベル」


 私とカトリーヌさんは、互いに笑顔を浮かべて手を握り合う。まさか、このような場所でウォルターさんに惹かれた人に出会うとは思わなかったけど、カトリーヌさんの様な女傑を味方に引き入れる事が出来たのは大きいわ。これでまた一つ、ウォルターさん包囲網を狭める事が出来たわ。

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