正義の味方、セシリアの前に立ちはだかる……?

第30話 喧嘩を吹っ掛けられました。



 例の『秘密の茶会』から数日後。

 その日もセシリアはいつもと同じように登校し、授業を受け、そして放課後を迎えていた。


 セシリアを含めた彼女の周りは、きっと誰もが「今日もいつもと変わらず平穏に一日が終わる」と思っていた筈である。



 が、その願いは叶わなかった。

 

「セシリア・オルトガン! 貴女の非道を許す訳にはいきませんっ!」


 学校から寮への帰宅の帰途。

 ちょうど大勢が帰宅するその時間に、後ろからそう言われた。


 セシリアは、ただ純粋に驚いた。 

 が、彼女が今、伯爵令嬢としてここに居るのだ。

 勢いよく振り返るなんて無作法な事は出来ない。


 だから内心慌てながらも、スカートが翻る事の無いように淑やかな所作で後ろを向いた。

 するとそこには黒髪黒肌の少女が一人、肩を怒らせて立っていた。


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