友達

 一人は嫌じゃない。

 生まれてからずっと一人で、これからもそうだと思っていたから。

 それが普通なんだから、一人が嫌なんておかしな話だ。


 でも今日、初めて友達ができた。

 優しくて頼りになって、何でも教えてくれる。

 そんなあの子のことが、今では大好きだ。


 些細なことで見せてくれる笑顔が好きだ。


 美味しそうにものを食べるところが好きだ。


 ゲームで負けて悔しそうな顔が好きだ。


 褒めるとすぐに照れる性格が好きだ。


 疲れ果てて肩で息をしている姿が好きだ。


 怪我をして泣きそうになった声が好きだ。


 ずっとそばにいてくれる、こころがすきだ。



 今日は友達の家に遊びにきた。

 楽しい時間はあっという間に過ぎて、もう帰る時間だ。

 何をしていたのかは思い出せなかった。

 でもいいか。楽しかったし。


 友達に、ばいばい、と手を振る。

 友達も、ばいばい、と手を振る。


 そうしたら友達はいつものように消えていなくなった。


 ここはどこだろう。


 しらない。


 あのこはだれ?


 ともだち。


 おまえはだれ?


 わからない。


 明日になったら、また会えるよ。

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