第7話 ハーレムの作り方

 一週間後。

 特に進展はなし……と。


 前世の記憶で無双! という訳にはいかない。


 何故なら……最近読んだライトノベルが好感度100%から始まってて、美少女の落とし方とか載ってなかったから!

 

 甘々イチャイチャの一途ラブコメも良いよ、好きだよ。


 でも美少女の落とし方が知りたかった!


「はぁ……」


 ベッドに寝転び、何度目か分からないため息をつく。


 何故そこまでハーレムを作りたいのか。

 美少女、美人にちやほやされたいから。 

 以上!!


 それが男のロマンだろっ!


 ただのハーレムじゃないぞ。

 美少女、美人だけで構成されたハーレムをつくり……僕はヒモになる!!


 前世であれば、最低な決意ではあるが、貞操逆転世界では当たり前らしい。


 一夫多妻も普通にある。


 女性が働き男性を養うのは貞操逆転世界では常識らしい。

 なので本来、男子が学園に通うことが事態珍しい。

 まぁ学歴によって給付される金額が上がるのでそれ目的で通っている人もいるだろう。


「ひまー」


 テレビもつまらないし……。

 この世界は僕にとって娯楽がほぼない。


 スマホを使って、動画や画像などのアダルト系のものを検索するとしよう。


 出てくるのは、全て男性。


 筋肉ムキムキマッチョ(Tの水着着用)や女らしい、なよなよした細身の男(女物の下着着用)ばかり。


 ……トラウマだ。


 コンビニの奥に置いてあるエロ雑誌。

 これも外出した際、確認したら全て―――そろそろやめておこう。トラウマだ。


 ……僕の娯楽、男のモザイクだらけ。


「一人で考えててもしょうがない」


 と、鹿波かなみちゃんに電話をかける。

 ワンコールで繋がった。


「もしもし鹿波ちゃん?」


『どうしたの大晴?』


「ちょっと相談したいことがあって」


『珍しいわね。何?』


「ハーレム作りたいんだけど……」


 ガシャーン!


 奥から食器が割れた音。

 耳が痛い……。


「鹿波ちゃん大丈夫!?」


『え、ええ。ちょっと手が滑ってしまって』


 いつも冷静な鹿波ちゃんが珍しい。


『それで、大晴はハーレムを作りたいのね。……何故?』


「美少女にちやほやされたいから! あわよくば毎日甘やかされるヒモ生活!」


 自分で言ってて最低だと思う。


『ふーん……。(私が全部してあげれるけど……)いいわ、手を貸してあげる』


「ほんと! ありがとう!」


 鹿波ちゃん優しすぎる……。

 彼女に拾ってもらえて良かった。


『ハーレムと広く視野を見るから上手くいかないのよ。視野を狭くして一つずつクリアしていかないと。手始めに生徒会に所属する、七崎立夏、香久山美奈、兎月弥夕。この3名を攻略するわよ』


「どうしてその3人なの?」


『この学園の生徒の中で一番権利を持っているのが生徒会だからよ。その3人さえ落とせば、あとの生徒は放っておいても落ちるわ』


「なるほど……」


 確かに、上の立場の美少女を落とせば、釣られてハーレムに入りたい美少女が集まってくる可能性が……。


 鹿波ちゃん頭いい!!


 生徒会は5人構成で、あと2人残っているが、その人たちは後回し……というか、ハーレムには入れる訳にはいかない。


『もし、失敗しても私が大晴を夫に貰ってあげるわ』


 夫……つまり、結婚してくれるってことだよね?


 え…………?


「……いいの?」


『ええ、もちろん』


 ……やだ。惚れちゃう。


 これはハーレムとヒモへの第一歩じゃないか!


「なる! 僕鹿波ちゃんの夫になる!」


『ふふ、ちゃんと言って』


「僕、日浦大晴は九空鹿波ちゃんの夫になります!」


『よろしい。作戦はLIMEで送るから今日はもう寝なさい』


「分かった!」


 通話を切る。

 

 よし、明日から頑張るぞー!!



*****


「良かったのですか、お嬢様」


 先ほどから私の横にいた執事。

 この男は義澄よしずみ

 代々、九空家に使える執事である。


「ええ。大晴は私に恩があるし、他の女が増えようと問題ないわ」


「ティーカップを落とすほど動揺されてましたが……」


義澄よしずみ


「はい」


「さっきのことは忘れなさい」


「承知しました」


 相談ごとでハーレムを作りたいと言われたら、さすがの私でも動揺するわ。


「それにしても……大晴は面白いわね。男なのにモテたい、ましてやハーレムを作りたいだなんて」


「確かに珍しいですね。この世界の男性は皆、極力女性と関わりたくない方が多いというのに」


「それだけではないわ」


「……と言いますと?」


なんて……彼女たちはどうなってしまうのやら」


 考えるだけでワクワクする。


 この退屈な世界で唯一、楽しませてくれる存在が大晴。


「さて、始めましょうか。攻略済みゲームの延長戦を」

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