第4話 勇者
リアと話をしていると試験官らしき男性が壇上に出てきた。
「只今より、ミラグレス学園の入学者選抜試験を開始します。1番から250番の方々はA会場、251番から500番の方々はB会場、501番から750番の方々はC会場、751番から1000番の方々はD会場、1001番から1250番の方々はE会場、1251番以降の方々はF会場へそれぞれ移動してください!」
というアナウンスが聞こえた。拡声魔法で声を大きくしているため、遠くのここまで聞こえてきたのだろう。
「リアは何番だ?」
「私は261番だ」
「じゃあ別々か」
「そういうことになるな」
「まあ、お互いに頑張ろうぜ」
「ああ、頑張ろう」
「なんだよ、余裕そうだな?」
「まあ、私は特待生を狙っているからな。それに剣の腕にはかなりの自信がある。アレンの方こそ大丈夫か?」
「緊張しまくりだよ…それに、魔法はまあまあ自信があるが剣はここでは自信がないな」
「そうだ、一ついいことを教えておいてやろう。優秀な受験者はその場で合格を言い渡されるらしいぞ」
「リアはあるかもしれないが、俺はそんなこと絶対ないぞ?」
「そうか?アレンのことだしありそうだかな。そうだ、試験が終わったら学園の入り口で待っていてくれ」
「?ああ、分かった」
「それじゃあまた後でな」
「ああ、また後で」
そうして俺とリアはそれぞれの会場に向い始めた。
F会場に着くと丁度説明が始まろうとしていた。
「今から説明を始める。今ここにいる人数が331人なのでそれを165人と166人で前半・後半に分けリング内で戦ってもらう。ちなみに最後の1人になるまで続くぞ。ルールは単純で魔法と武器だけを使って戦う、それだけだ。また、致命傷などを負うとリングの外に出る仕組みになっている。リングを覆うように結界が作用しているため、リング上で負った傷は外に出るとなくなるから全力で戦え!以上で説明を終わる。何か質問のあるものはいるか?質問があるなら手を上げろ」
誰も手をあげるものはいなかった。にしても試験方法が乱戦とは思わなかった。まあ、人数も多いので妥当だとは思うが。
「ではこれより試験を始める。1251番から1416番までリングに上がれ!」
ぞろぞろと受験者たちがリングに上がっていく。俺はもちろん後半組だが前半組の試験はどれくらいで終わるのだろうか?そんなことを考えていると全員がリングに登り終わっていた。
「それでは、始め!」
「聖剣召喚」
その言葉と同時に結界内は光と爆風で包まれた。
そして光が徐々に消えていくにつれその場にいた全員は気づいた。リング上には一人しかいないことに。
「そ、そこまで!1355番は合格だ!」
試験が一瞬で終わり、受験者たちはざわつき出した。
「なんだよ今のは!?」
「あれが聖剣かよ!」
「じゃあ、あいつが今代の勇者か!?」
「聖剣を抜いたって噂は本当だったのか!」
「確かノア・エルグランドって名前だったぞ!男爵家の人間だ!」
勇者とは魔王と対となる存在である。聖剣に勇者と認められた者のみが抜けるため、聖剣を抜ける者は必然的に勇者になるのだ。勇者はその時代に一人しかおらず、聖剣は勇者が生まれると淡く光り、勇者が資質に目覚めると強く光るようになるらしい。また、勇者が資質に目覚めるまでは王家が聖剣を管理しており、強く光りだすと王家の使いが勇者を探しに各地を回るらしい。これは平民でも知っているようなかなり有名な話だ。そしてその勇者が今目の前にいる。それは皆ざわつくだろう。
「し、静まれ!驚くのも分かるがこれより1417番以降の試験をはじめる!リングに上がれ!それと1355番を除く前半組の受験者はもう一度試験を行うので待機しておけ!」
試験官の声でざわつきは少しおさまり、俺たち後半組は移動を始めた。さっきの勇者は凄かったが、今からは俺の試験が始まると思うと無性に緊張してきた。前に踏み出す一歩が重い。一歩一歩階段を登ってリングに向かう。
「フゥー」
息を吐き出しリングの上に立った。どうせ始まるのだからどうしようもない。それにリアと約束したのだ。「頑張る」と。ならば俺に出来ることは自分のベストを尽くすことだ。
「それでは、始め!」
そして、遂に俺の試験が始まった。
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