第4話 一人目の乗客 前編
光の道を抜けると、そこは森の中だった。
見渡す限りの木、木、木!!!!
ここがどこかもわからない。
「そうだ!!!ナビ!!!」
ナビの現在地を見ると『魔王領、森』と記されていた。
大雑把すぎ!!!!!
「これお釣り用の金な!!!!
お前の生活は知らん、客乗せて稼げ。」
そう言って銀貨、銅貨、鉄で出来た小さなコインを何枚か渡されている。
単位は『ペイズ』だそうだ。
銀貨の上に金貨があるか、一万円札がお釣りで出ないのと同じようにお釣りにはならないので貰えなかった。
金貨が1000ペイズ、銀貨が100ペイズ、銅貨が10ペイズ、鉄のコインが1ペイズらしい。
料金が10万ペイズとかになったら100枚の金貨を貰うことになる。
3ペイズで安いパンと水くらいなら買えるらしい。
「寝泊まりは最悪車内でいいけど、食費は稼がないとだよな、、、。
お釣り用の硬貨も追々補充が必要か?」
今後のことを考えると胃が痛い。
「森の中じゃ人もいないよな〜、、、。」
そう思いながらも少しタクシーを走らせた。
この世界を少し見ておきたいと思ったから。
何を燃料にしてるかはよくわからないが、燃料の補給はいらないので走らせ放題だ。
「え!!!!!」
森の中に女性がいる。
年齢は僕と変わらないくらいで、白いワンピースに白い靴、金の髪と青い目の美しい女性だった。
子どもの頃に見たアニメ映画に出てくる女の子を思い出した。
女性は手を真っ直ぐ挙げている。
もしかして、タクシーに乗りたいのか?
一応女性の前で停車することにした。
「ご乗車になりますか?」
僕が声かけると、女性がうなづく。
後部座席のドアを開けると女性が乗車した。
「どちらまで?」
「ナギリス城の前までお願いします。」
ナギリス城?どこだろう?
そう思いながらナビの検索機能でナギリス城を検索する。
魔王領の南には山が連なっており、山を越えて更に南に進むようだった。
森の中には道がないので、ナビは一直線を指す。
地上ルート 2時間
空中ルート 30分
地中ルート 1時間
とルートによって異なる時間が表示されている。
空中ルートが一番速いようなので、空中ルートで行こうと思う。
「お客様、飛行での移動でよろしいでしょうか?」
乗客に確認しておく。
飛行機が怖いタイプとかかもしれないし。
「はい、それでお願いします。」
ミラー越しに女性の青い目と僕の視線が合う。
少し照れくさい。
「では、出発致します。」
メーターのスタートは手動なので、ボタンを押した。
こちらからは見えないが、外の表示板が“乗車中“になっているだろう。
ギアをFに入れると飛行モードになると神から聞いていたので、DからFへと変更した。
地中に潜るときはG、水中はSらしい。
静かに、ゆっくりと地面からタイヤが離れていく。
どうやって飛んでいるのか原理はわからない。
激しい揺れが起こるのかと思っていたが、車内はほとんど揺れていない。
僕のタクシードライバー人生初めての乗客との空の旅はこうしてスタートした。
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