第三章・新たなる冒険の日々

第1話・新生活

 アリシアは赤狼団やエルダーゴブリンジェネラルを倒し、エレノでは英雄扱いされるようになる。しかし、まだまだ鉄級中位ランクの新米冒険者であるアリシアはギルド内でお薬を造ったり、医者の代わりをしたりと中々楽しい日常を満喫していた。


 人口一万人+兵士千五百人のエレノ町クラスの規模の辺境の町にはまともな医師はおろか薬師すら居らず、その両方を兼ねたアリシアの存在は貴重だった。


 貴族や教会などにアリシアを連れていかれないように町の兵士が作ったアリシアファンクラブの見守り隊や、アイオスを中心とした冒険者達や冒険者ギルドの徹底した情報管理でアリシアが治癒魔法の使い手である事は伏せられている。


 ネームドのエルダーゴブリンジェネラルを倒した際の宴会の翌朝、起き上がった十歳のアリシアは見た目が大人のように完全に変わっており、未だに感覚のズレがある。


 冒険者達とは付き合いが短いので、ほとんど気にされては居ないが可愛さ倍増でアイオスやポンチョ、お姉様方などはデレていた。


 良くも悪くもアリシアはエレノの町の人気者なのだった。


「おはよう♪アリシアちゃん♪今日もポンチョ特製シチューセットで良いかな?」


「おはようございますポンチョさん!今日もシチューセット大盛りで!」


《アリシアよ、お前の胃袋はマジックバッグか?普通のセットでも俺は食えん量だぞ?その身体でよく大盛りが入るな》


(師匠ー、身体が大きくなったので腹ペコなんですよー)


「はいよ♪」


「おう!アリシア嬢は今日も元気だな!」


「はい、私は元気ですよ!アイオスお兄さん。何か怪我とかしたら言って下さいね」


《弟子よ、あまり安請け合いするんじゃない》


(えー、師匠もアイオスお兄さんや冒険者達には良くしろって言いましたよ?)


《そうだったか?》


(そうです)


「ああ、そんときゃ頼むぜ!アリシア嬢も何かあれば何時でも俺達のクラン、ブルーシールドに言ってくれや!」


「ありがとうございます!アイオスお兄さんも何かあったら言って下さいね!」


「おう!そん時は頼むぜ」


「アリシアちゃん、俺達も宜しくねー」


「ねえアリシアちゃん、今度お姉ちゃん達のパーティーに参加しない?それとも、この前みたいに別のパーティーとかしちゃう?アリシアちゃん可愛いし、ヒラヒラレースの可愛い服が似合うのよねー」


《アリシア、今はまだパーティ参加はやめとこうな。動きがちぐはぐ過ぎて嫌な予感しかせんし》


(そうですね。まだこの身体に慣れてませんし)


《うーん、俺は女の身体については詳しくないが、その無駄な肉は何処まで成長するんだ?うちの奥さんは今のアリシアよりも少し小さかったぞ?》


(うーん、どうなんでしょうか?暇な時にお姉ちゃん達に聞いてみたいですねー、剣を振ると凄く痛いんですよコレ……)


 アリシアは以前の式典の際、女冒険者達にパジャマパーティーに誘われ甘いお酒を飲み、みんなに揉みくちゃにされ、可愛い服の着せ替え人形にされたのを思い出して苦笑いする。


 結果的に式典では美しい出で立ちが出来たのは感謝だったのだが、暫くは育ち盛りの部分が痛いので着せ替え人形は勘弁して欲しかった。


「あはは、暫くはエレノの町の回りで薬草採取と傷薬にポーション造りしてますから、それと身体が大きくなって動きがちぐはぐなんでパーティー参加は今は考えてません。お薬が必要な時には言って下さいね」


「そっか、身体が急に大きくなって大変だね。ありがとね、アリシアちゃん!」


 今日もアリシアはポンチョの宿の自室で身仕度をして一階の酒場兼食堂に下りていく。朝から騒がしい強面の冒険者達が次々とアリシアに声を掛けてはポンチョ特製の料理を食べ、朝から酒を飲んで景気付けをする者もいる。相変わらず、ポンチョの食堂は朝から大盛況だった。


「はいよ♪ポンチョ特製大盛りシチューセットだよ!こっちは特製サンドイッチね。焼きたての白パンは自由に持っていって良いよ♪」


「ありがとうございます!いただきます!」


 本日もポンチョ特製のシチューは絶品で焼きたての白パンはふわふわ、料理に大満足なアリシアは大量に弁当のサンドイッチを持たされて向かい側の冒険者ギルドに向かう。日頃から大量の食糧をアイテムボックスに貯め込むのは既にアリシアの癖となりつつ有る。


 本日も上機嫌でポンチョの特製シチューやサンドイッチ、焼き立ての白パンなどをアイテムルームに備蓄して、向かいの冒険者ギルドに向かう。


「おう、おはよう!アリシアちゃん!」


「おはようございます!」


「おう、魔法使い殿じゃないか。今日も採取依頼かい?討伐とかしないの?」


「はい!今日も主に薬草採取とお薬の納品ですね。討伐は何か有ればやりますよー」


「アリシアちゃん、今度俺達とダンジョンに行かない?」


「ダンジョン?近くに有るんですか?」


「西に廃坑跡のダンジョンが有るよ。日帰り出来る距離で屋台とかあんの」


「それは面白そうな話ですが……まだちょっと身体の調子が悪いので、また今度お願いします♪」


「おう!」


朝の冒険者ギルドは顔見知りの冒険者達でひしめいている。アリシアはにこやかに挨拶しながら受付のターシャの窓口に向かう。





今後も頑張って更新していきますので、ここまで読んで面白い!続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや下の↓♥、レビュー★★★などお願いします!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る