第七話 とりあえず

『恐ろしいですよね…。昨日朝方からお昼にかけて様々なところで落雷による火事が起きました。落雷による被害は〇〇新聞社や✕✕社など約20社、そして△△警察署、裁判所、家屋も含めると100件近くと被害が甚大で…きゃああああああああああぁぁぁ!!?!??』

ニュースはここで終わってしまった。

「よし、復讐終了っと。」

俺は自宅でゆっくりとご飯を食べながらテレビを見ていた。

先程のトラブルで、まだ夕方にもなっていないのに、砂嵐になっている。

それもそのはず。

何故なら

どういうことなのか。

話は朝に遡る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

神のおかげで、地上に転生した。

時系列で言えば俺の死後まもない時間だ。

年齢は18歳の高校3年生の青年で、親はいないらしく、どうやら神が地上に違和感がないように作り上げてくれたらしい。

記憶も引き継いでいて、見た目はかっこいいが少し目つきが悪い気がする。

だが違和感もなく、すぐに自分の姿として受け入れた。



それよりも気になるのはだ。

神は能力について質問したとき、こう答えていた。


『あなたに与えるのは私の力そのもののコピーです。雷を主としていますが、ある程度の能力は使えます。本来であれば神は複数存在し、最近は私の子供たちが不幸死を遂げた者の能力付与と転生にあたっていたのですが、あなたも巻き込まれてしまったあの事件で多くの不幸な死者が出てしまってね。

子供達だけでは手が足りなくて、私達のような上の神も今あたっているのです。』

(不幸中の幸いとはこのことだな。)

どうやら割とすごい力を手に入れたらしい。

だが‥‥。


(そこが一番実感が湧かないんだよなぁ…。)

与えてもらったにも関わらず、いまいちピンときていない。

まず、全知の能力を使ってみることにした。


発動。『Omniscience G』


すると、脳内には自分の能力の詳細、それからゼウスの子供達や他の神の情報が入ってきた。

どうやらほんとに全知全能になったらしい。

次に復讐先のことを調べ上げた。

もちろん、復讐を遂げる為だ。

だが別に死んだことや、俺に罪を被せた相手には正直なんとも思っていない。

俺が復讐するのは、

警察、弁護士、裁判官、マスコミ、そしてそれを信じて嫌がらせをしてきた一般人全てだ。

状況はどうあれ、少しでも信じて貰えれば、こんなに憎しみを抱くことはなかっただろう。

そして俺だけならまだしも、両親も亡くなってしまった。

たしかに直接的ではない。

だがそんな民意が許せなかった。


(さて、そろそろ復讐の時間だ…。)

『Supreme Thunder G』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして今に至る。

転生1日目にしてとりあえず復讐は果たしたわけだが‥‥。

正直目標がなくなってしまった。

復讐を遂げることが現世に転生した理由の一つだが、それがほぼを占めていた。

だからこそ現世にやり残したことはないし、

昔から本を読む以外、特に趣味とかもなかった。

そしてどうしようかと考えていたその時、

転生前の神との会話を思い出す。

(そっか、そうだったな。)

この世界は俺みたいに不幸な人がたくさんいる。

それは一向になくなることなどはないし、だからといって普通の人達にはどうすることもできない。


「よし…決めた。」


「とりあえず俺が世界を創り変えますか。」

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