第五話 死の末
「不幸な死を遂げた者よ。あなたには異世界に転生する権利を与えましょう。」
どうしてこうなったのか、話は少し前に遡る。
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(何だこのふわふわした感じ。あぁそうか。)
どうやら俺は死んでしまったらしい。
気がついたら宙に浮いている。
真っ白な空間を、何処かへと誘われる様に移動していた。
(つまらない人生だったな。)
今まで楽しいことすら一つもなく過ごしてきた。
将来の為、全てを投げ打って掴んだものも一瞬で崩れ去り、信頼すらしてもらえず、全てがくずれさった状態で殺されてしまった。
(もうどうにでもなれ。)
そう思ったその時‼
急に白い空間に大きな穴が出現した。
「なんだ!?」
シュゥゥゥ‥‥‥‥‥!!
気がつけば俺の体はそのブラックホール?のようなものに吸い込まれ始めていた。
「うわあああああああ!?!?!?」
「よくぞ来てくれました。」
そこには、不思議な格好をしたおじいさんが座っていた。
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「えっとすみません、誰ですか…?」
その場で浮かんだ一番の疑問を俺はぶつけた。
するとそのおじいさんは、
「我はゼウス。あなたの世界でいう神様という存在に当たるものです。」
ゼウス 確かに聞いたことがある名前だ。
ギリシア神話に伝わる神の一人で創造的能力や人格者であることから、全知全能とされている。確かに知っている。
昔から神話系の本も沢山読んできたし、俺が唯一やってたスマホゲームなどでも、最強とされていた神様だ。
(それがこの人…。)
正直こう言ってはなんだが、本来なら疑いにかかるが、不思議と目の前の存在を肯定していた。
「神様。私はいったいどうなったのですか?」
俺は質問を続けた。
すると神は、
「あなたは現世で死んでしまったのは分かりますよね?」
「はい」
「しかしその死は、正直あってはならないもので、本来そうなることはなかったのです。」
「どういうことですか??」
「そのままの意味です。本来ならあなたの生涯は
寿命まで死ぬことはなかった。しかし何らかのことに巻き込まれたせいで、それが失われてしまったのです。」
神はそのまま続けた。
「人は死を遂げると、主に3つの分岐に分かれ、新たな生命を得ます。
1つは天国へ行き、幸せな世界の中で自分の好きなタイミングで申し出て転生する事。
もう一つは地獄へ行き、今までの罪を償い悔い改めることで転生する事。そして…。」
「不幸な死を遂げた者に、神が直接命を与える事」
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そして今に至る。
だが、この問が来ることは最初から予測できていた故、すかさずこう答えた。
「いいえ、結構です。」
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