第四話 覆らない免罪
「だから!!俺は何も知らないんですって!!」
小さな取調室に、俺の声だけが響いていた。
「そう言われてもね…。」
刑事さんは困った表情で続けた。
「凶器にもべったり君の指紋も付いてしまってるし、現に被害者からの電話での証言も残ってる。
君がいくら何を言っても、これが覆らない事実なんだよ。」
何日も無実を主張し続けたが、結果は変わらなかった。
誰一人信じてくれない。
弁護士にもお願いしたが、
『罪を認めてくれれば、少しでも軽くなるようには頑張ってみます。』
と、もうすでに犯罪者として扱ってくる始末。
一応両親だけは俺の話をちゃんと聞いてくれて、唯一信じてくれてはいる。
が、どうやらゴシップ雑誌にもニュースにも取り上げられ、各方面からの嫌がらせが来ているようで、とても憔悴しきっていた。
それから数日経ってすぐ、両親の訃報が届き、
俺の中の何かが崩れ落ちる音が聞こえた気がした。
そして、『諦める』より強い、
『憎しみ』が生まれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
裁判最終日。
「被告人の行ったことは残酷故、罪を認めることもせず、極めて悪質であるものと取りました。よって有罪。死刑判決を下します。」
(何が裁判官だ。免罪の俺に死刑を下した時点で、やってることは殺人犯と変わらないじゃないか。もう何も信じない。最後の最後までつまらない人生だったな。)
それから数ヶ月後。
死刑は見事に執行され、
死の間際の俺の脳内には、走馬灯すら浮かばなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます