第四話 覆らない免罪

「だから!!俺は何も知らないんですって!!」

小さな取調室に、俺の声だけが響いていた。

「そう言われてもね…。」

刑事さんは困った表情で続けた。

「凶器にもべったり君の指紋も付いてしまってるし、現に被害者からの電話での証言も残ってる。

君がいくら何を言っても、これが覆らない事実なんだよ。」

何日も無実を主張し続けたが、結果は変わらなかった。

誰一人信じてくれない。

弁護士にもお願いしたが、

『罪を認めてくれれば、少しでも軽くなるようには頑張ってみます。』

と、もうすでに犯罪者として扱ってくる始末。

一応両親だけは俺の話をちゃんと聞いてくれて、唯一信じてくれてはいる。

が、どうやらゴシップ雑誌にもニュースにも取り上げられ、各方面からの嫌がらせが来ているようで、とても憔悴しきっていた。

それから数日経ってすぐ、両親の訃報が届き、

俺の中の何かが崩れ落ちる音が聞こえた気がした。

そして、『諦める』より強い、

『憎しみ』が生まれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

裁判最終日。

「被告人の行ったことは残酷故、罪を認めることもせず、極めて悪質であるものと取りました。よって有罪。死刑判決を下します。」

(何が裁判官だ。免罪の俺に死刑を下した時点で、やってることは殺人犯と変わらないじゃないか。もう何も信じない。最後の最後までつまらない人生だったな。)


それから数ヶ月後。

死刑は見事に執行され、

死の間際の俺の脳内には、走馬灯すら浮かばなかった。

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