第116話 古代文明都市 防衛機械待機室
「はぁ…はぁ…やっと捕まえられましたね…」
「うむ…大変だったのじゃ…」
松明の火でアシッドスライム亜種を燃やして体積を小さくし、数時間かけてなんとか元の瓶に戻すことができた。
正直機械生命体を殲滅するよりも、こっちの方が大変だった。
「ところで…もう敵は殲滅し終えたのじゃ?」
「いえ…地下7階へ向かう扉の前に超大型が1体門番みたいに居座ってますね。」
「うむ…妾は疲れたから任せるのじゃ。」
「分かりました…」
とはいえ俺も両手剣Lv.9“ノヴァディザスター“を行使しまくったので、両腕が重い。
ちょうど80回行使したようで、TPは876,451→76,451まで減っていた。
『増幅薬でTP爆盛りしてからこんなに消費したのは何気に初めてだな…一応回復しておくか。』
TP回復薬を飲みつつ、超大型の視界に入ると動き出すかも知らないので通路から“機械探知“で様子を窺った。
『あれは…阿修羅みたいだな。』
顔が3つに腕が6本あり、足は1本で宙に浮いていた。
得物はどの腕も片手剣だが、体長約10mにちょうどいい大きさなので俺より大きい。
『…ちっ。』
どうやら最初に“ノヴァディザスター“で放った斬撃は中・大型の列で止まっていたらしい。
超大型は全くの無傷だった。
『…そこら中に死体が転がってるから動きにくいだろうし、遠距離攻撃で仕留めるか。』
深呼吸をしてから扉の中に入り、“破壊の両手剣“を構えた。
予想通り、俺を見るや否やこちらへ飛び出してきた。
『速いっ!?』
もし斬撃を防御しつつ突進されたら、なす術なく串刺しにされるだろう。
とはいえ、俺は死体が邪魔で回避できないのでソードスキルの強制停止を視野に入れて“ノヴァディザスター“を行使した。
敵の攻撃の勢いを殺すために首と胸部、腰部へ無数の斬撃を放った。
超大型は攻撃を相殺すべく6本の剣を前に構えて攻撃したが、剣ごと2本の腕を切断された。
「ピピピピピ…損傷を確認。修復します。」
『なっ…!?』
斬り落とした箇所にホログラムのようなものが現れ、緑色の光とともに断面から修復され始めた。
『魔法…!?いや、それはないか。』
時に高度に発展した科学技術は、まるで魔法のように見えるものだ。
『修復される前に仕留めないと…!!』
“ノヴァディザスター“を行使して追撃した。
超大型は攻撃の相殺を諦め、回避を試みた。
『ちっ…!!』
素早い動きで舞うように斬撃が回避される。
何撃かは被弾したが、最小限の損傷で済むように計算しているようだ。
『どうしたものか…』
そんなことを考えているうちに、腕が修復されてしまった。
大体150秒で治るようだ。
「ピピピ…剣を修復します。』
『なっ…!?武器まで修復するのか!?』
このままではジリ貧だ。
修復される前に一気に仕留めなければ…
「はぁぁぁぁぁ!!!!」
再び“ノヴァディザスター“を行使して無数の斬撃を放った。
当然回避に重点を置いている超大型は多少の被弾で済んでいるが…
「ピピピピ…回避不能になりました。迎撃体制に移行します。」
斬撃で回避先を誘導し、部屋の隅まで追いやった。
そして剣を構えて迎撃体制を取った瞬間、両手剣Lv.8“グランドハザード“を行使した。
『ちっ…』
最初の広範囲攻撃は剣1本の破壊で相殺され、残りの5連撃はそれぞれ剣1本ずつ合計5本の破壊で相殺された。
1本削り切ることができず、超大型は残った1本を振りかざして俺の頭へと迫る。
『…今だ!!』
身体を倒して無理矢理両手剣Lv.6“ジェットスマッシュ“を放った。
体勢を崩した身体はシステムアシストによって修正され、超大型の真左を位置取った。
そして超大型の心臓部に渾身の一撃を放った。
「ピ…ピピ…損傷率56%…72%…機能を…停止…しま…」
最後まで喋ることなく、大きな音とともに地面に落ちて倒れた。
同時に、ピロンッと音が鳴ってLvが105→106に上がった。
『なんとか倒せたか…』
もし敵でなければ、是非とも自動修復のアーティファクトとして持ち帰りたかった…
今持ち帰っても、破損しているため他の機械生命体の死体と大差ないだろう。
「はぁ…」
「むっ、終わったのじゃな。」
「はい。さて、もう敵はいないので探索しましょうか!!」
「あー…そのことなんじゃがな。」
「どうしました?」
「ここは機械(?)とやらを待機させるためだけの部屋のようじゃ。」
「えっ…?どうして分かるんですか?」
「この階の説明は約300年前に書き直されていたようじゃ。妾でも読めたのじゃよ。」
「えっ…ちょっと借りますね。」
説明文を“言語理解“で読むと、確かに“防衛機械待機室“と書かれていた。
待機室といえども、レアアイテムの1つや2つはあるだろう。
…あって欲しい。
「ちょっ、ちょっと探してきますね!!」
「うむ。」
“アイテムボックス“に機械生命体の死体を収納しつつ、アイテムや隠し部屋を探した。
しかし、探しても探しても機械生命体の充電装置のようなものしか見当たらなかった。
「あ、あんなに苦労して敵倒したのに…」
「元気出すのじゃ。気持ちは分かるが、ダンジョンではよくあることじゃよ。」
「そう…ですね。」
Lvも上がったし、成果としては十分だろう。
武器や防具も上階で既に揃っていたので、特に欲しいものは無かったし…
「…もう大丈夫です。」
「うむ。今日はここに泊まるから準備するのじゃ。」
「はい。」
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